中村晃は「ワイン飲むと面白く」、板東には「ビックリ」 和田毅が後輩と築く関係性

ソフトバンク・和田毅【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・和田毅【写真:藤浦一都】

板東の第一印象は「かっけえな、っていう(笑)」

 選手同士の関係性を探る上で、それぞれの「呼び名」は大きなヒントになります。下の名前で呼んだり、独自のニックネームをつけていたり……。大所帯のチーム内で、誰と誰が仲良いのかなど、意外な交友関係も出てくるものです。

 鷹フルでは今回、和田毅投手に取材。チームメートらに対して「何て呼んでいますか? 何て呼ばれていますか?」と質問してみました。チーム最年長の立場から見た同僚たちとのつながりや、プライベートの一端を教えてくれました。

――チームメート全員が後輩。何て呼ばれていますか?
「『和田さん』が多いと思います。というか、それしかないんじゃないですかね」

――「和田さん」以外ってありますか?
「いや、ほぼ和田さんですかね」

――柳田悠岐外野手のことは何て呼んでいますか?
「ギータだったり、ギーだったりですね」

――第一印象は覚えていますか?
「覚えています! がむしゃらにやっているイメージでした。今よりも振っていた。まだ細かったし。ルーキーって感じでしたね」

――和田投手がメジャーリーグに挑戦している間に、柳田選手はホークスの顔になりました。
「やっぱり、すごい努力をしたんだなって、すごい選手を獲っていたんだなって思いました。もともと持っている技術がありますけど、プロに慣れるという意味でもね。そこは彼の努力なんじゃないですかね」

――同じく今宮健太内野手も、和田投手が米国にいる間にレギュラーになった選手ですね。
「そうですね。(駆け出しの頃の)健太も時々、ベンチ入りして座っているっていう。“お試し”で何試合か(1軍に)来て、座っているみたいな。そんな感じでした」

――たくましくなっていましたか?
「正直、その時はそこまで、(メジャーに挑戦する前年の)2011年はそこまで存在感はなかったので。だから、本当にいま若い子が上がってきて、すぐ落ちるみたいな。そういう選手だったので。まだ(健太は)19歳、20歳とかでしたから」

――呼び方は健太ですか?
「健太は健太です」

ソフトバンク・中村晃【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・中村晃【写真:藤浦一都】

――中村晃外野手は?
「晃です。僕一緒にお立ち台に上がっているんですよ、2011年。初めて晃がスタメンだったのかな? 僕が投げた時で、3安打を打って。それは覚えています。まだ晃が出始めというか」

――中村晃選手とは、よくしゃべりますか?
「しゃべりますよ。話し出すと、ワインを飲み出すと、面白くなってきます(笑)。一緒に、ワイン会のメンバーなので」

――和田投手と中村晃選手以外にもワイン会のメンバーがいるんですか?
「何人かいるんですけど、タイミングが合わなくて行けていなくて。一応、健太も入る予定で。あとは又吉(克樹)とか。一緒にワインを飲むっていう、それだけですけど」

――確か、どなたかにワインをプレゼントされていましたよね?
「そうですそうです、ギーです」

――甲斐拓也捕手はどうですか?
「拓也ですね。あいつはお酒飲めないので。拓也はですね……。一番は負けず嫌いですね」

――何人もの捕手とバッテリーを組んできたと思います。捕手はより人柄が出るポジションだと思います。甲斐選手の特徴は?
「うーん、何ですかね……。試合中のコミュニケーションを取る回数は一番多いです。今までのキャッチャーの中で。すごく聞いてくる。『次の打者、こういうイメージでいきましょう』『ああいうイメージでいきましょう』っていうのも、一番聞いてきたり、話をしたりするのは拓也が一番多いですね」

――そういうところにも負けず嫌いというか、前のめりな姿勢が表れていますね。
「お互いの確認をする、したいっていう。自信を持ってサインを出していきたいというか、彼の準備なんでしょうね。準備という意味でもものすごくしているし、ノートにもすごく書いているし」

――年齢は離れていますが、甲斐選手が物怖じすることはなかったですか?
「最初は、遠慮気味なサインが出ていました。自分がどの球投げたいというか、そんなサインが出ていましたけど。やっぱり組めば組むほど、わかってくるし。自分も、拓也といろんな話をする中で、試合中に年齢の“壁”があると、いいバッテリーにはなれないと思うので。ダメなものはダメですし、良くないものは良くないし。そういうところはハッキリと言ってくれた方が僕は逆にうれしいし」

「自分も『あそこ(の場面)はこうやったかもしれんな』って話は、お互いにしないといけないので。今までの先輩だとジョーさん(城島健司)だったり、田上(秀則)さん、(細川)亨さん。下だったら勝己、山崎勝己だったり、高谷(裕亮)だったり、(山下)斐紹、海ちゃん(海野隆司)にも受けてもらっている。そこに年齢とか、先輩後輩という関係を出そうと思ったことは一度もないです」

ソフトバンク・板東湧梧【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・板東湧梧【写真:藤浦一都】

――投手陣のことも聞かせてください。一緒に自主トレをしている板東湧梧投手は?
「板東は、板ちゃんですね」

――自主トレをお願いされた日のことは覚えていますか?
「覚えていますよ。『お願いがあるんですけど……』って。何だろなって思ったら、自主トレをお願いしたいですって言われて。『え!?』って思いましたけど。俺、左だけどいいの? って、そんな感じでした」

――2018年ドラフト4位で入団した板東投手は、どんな第一印象でしたか?
「第一印象ですか? かっけえな、っていう(笑)。そのまんまでした」

――自主トレの前後で、板東投手に対する印象は変わりましたか?
「めちゃくちゃ負けず嫌いだなっていうのは感じました。この世界は、負けず嫌いじゃない選手はいないと思いますけど。すごくストイックにやるし、いろんなことに対して。食べ物もそうだし、サプリメントもそうだし、トレーニングも。すごく細かくて、それはビックリしました」

――藤井皓哉投手は、どうですか?
「藤井は、藤井ですね(笑)。そのまんまです」

――ホークス加入当初は育成でしたが、投げるボールはすごかったですか?
「すごかったですよ。今見てもすごいし、テレビで見てもすごい。自主トレに来ても、まだ遠慮というか、緊張みたいなそういうのがありましたけど、今年は。でも何かを得よう、盗んでやろうっていう、獲物を狙うような目で練習していました」

――感情が顔に出るタイプではないと思いますが、どんな人柄ですか?
「人柄……。うーん、どうだろう。ちょっと恥ずかしがりなところがあるのかな」

――取材をしていても、それは僕も思いました(笑)。
「そんなところがあるのかな? もっともっと深く入っていったら面白いと思いますけど。まだまだ自分の殻を、いい意味で破れていないかなっていうのは感じますね。でもそれがある意味、彼の特徴でもあるので。そこをほじくり出すのもね」

4月18日の西武-ソフトバンク戦で始球式を務めた松坂大輔氏【写真:荒川祐史】
4月18日の西武-ソフトバンク戦で始球式を務めた松坂大輔氏【写真:荒川祐史】

――和田投手といえば「松坂世代」。同世代のメンバーについても1人ずつ教えてください。松坂大輔さんは?
「大輔とか、大ちゃんですね」

――藤川球児さんは?
「球児です」

――西武の平石洋介ヘッドコーチは?
「洋介です」

――ソフトバンクでも同級生がたくさんいましたね。
「スギ(杉内俊哉)、渚は渚(新垣渚)、亮は亮(吉本亮1軍打撃コーチ)、下の名前が多いですね」

――すごすぎる世代なので少し質問するのも緊張するのですが……。和田投手にとって同級生はどんな存在ですか?
「同級生ですか? 高校の時から、僕よりもスター(が多い)というか、僕が見て羨ましいって思っていた同級生ですから。プロに入って一緒にやっていて、僕が不思議でしたし。関係性って言ったらちょっとおかしいですけど、同級生を見て『おぉ!』っていうのがなくなることはないのかなって思います。リスペクトというか」

「年齢が同い年で仲良くなったとしても、大輔のことを大ちゃんって呼んだとしても、僕にとっては“あの松坂大輔”ですし。その憧れというか、尊敬はやっぱり会ってからも変わらないし、会えば会うほど、彼の人柄に触れてさらに尊敬というか、偉大さが増したというか、そんな気はします」

――同級生からは「毅」って呼ばれますか?
「毅が、多いですね。渚とかスギとかはワッチって呼びますけど、先輩でも(斉藤)和巳さんとかもそう(ワッチ)ですし。同級生だと、毅って呼ばれることが多いですね。和田ももちろんありますけど」

――松坂さんは?
「毅ですね」

(竹村岳 / Gaku Takemura)