気になる「無理しているかどうか」 今宮健太の調整…打ち明けた不安と一流の“矜持”

リハビリ組で調整を続ける今宮健太【写真:竹村岳】
リハビリ組で調整を続ける今宮健太【写真:竹村岳】

14日の中日2軍戦で復帰…遊撃守備にも意欲「それができないと需要ないでしょ」

 戦列を離れてから1か月が経とうとしている。待望の実戦復帰、その直前までやってきた。チームリーダーが語ったのは「いろんな不安はあります」。今宮健太内野手の本音に迫った。

 今季がプロ16年目。昨シーズンは133試合に出場して打率.262、6本塁打、39打点。2年ぶり4度目のベストナインを受賞するなど、替えのきかない存在としてリーグ優勝に貢献した。今春のキャンプはS組としてスタートしたが、2月13日に左ふくらはぎを負傷。過去にも痛めた経験がある箇所で、18日に宮崎を離れてリハビリ組に移行した。

 3月に入ると、日に日に状態は良化。14日、ウエスタン・リーグの開幕戦となる中日戦(タマスタ筑後)で実戦復帰を果たす予定だ。5回まで出場する見込みで「それができないと、需要ないでしょ」と遊撃の守備に就くことにも意欲的。28日に迫る1軍の開幕戦まで、残り2週間。ここ最近、急ピッチで調整する今宮を見て感じたのは、“3.28”に合わせようと「無理をしていないかどうか」だ。本人に真意を聞くと、端的な答えが返ってきた。

「無理はしないとダメでしょう」

 これまでも「野球選手ならみんな、どこか痛いところはあります」と語ってきた。3月28日からは、ついに2025年シーズンが始まる。チームのためにも、自身のポジションを守るためにも、復帰に向けて“アクセル”を強く踏み込んでいることを否定しなかった。「万全で野球ができる環境はあまりないですから。いろんなものを抱えながらやっている選手はたくさんいますし、それを乗り越えていくのが一流選手だと思います」。

 現役のホークス戦士の中で、もっとも長く開幕スタメンを射止めているのは今宮と、柳田悠岐外野手だ。2013年から12年連続で名を連ねている背番号6にとって、やはり開幕は目指すべき舞台――。「(今年は)立つとは決まっていないじゃないですか。明日から頑張ります」と足元を見つめつつも「そこなしではやっていけない。まずは28日に出ることを最短の目標にしています」と続けて語った。

 14日の2軍戦出場が、その第一歩だ。左ふくらはぎについて「こっち(筑後)に戻ってくるというのは、それくらい悪いということ。最初はえらい重そうなニュース(自身の負傷記事)が出たなとは思いましたけど、実際はそこまでではない感じでした。こっちでもできることはたくさんありましたし」と振り返る。2025年、初めての試合に挑む。「不安のない人はおらんか……。それはあります」。抱いている感情は隠さなかった。

「僕の場合は怪我ですけど、開幕がどうこうは確定しているわけじゃない。さっきもいったように、明日からのゲームの中で動きの確認が大事ですけど、結果と内容もある。明日から日曜日あたりは、そこを求めてやっていきたいです。練習では自分で制御できてしまうので。ずっと『3月の頭くらいからゲームに出られるように』と思ってやってきましたけど、実際には3月中旬で初めて試合を迎えるので、いろんな不安はあります」

 左足は、ハムストリングとふくらはぎを過去に痛めた経験がある。当時と比較をしても「その時でも3月の上旬には出ていたでしょう。やっぱり10日(違うのは)はデカいですよ」と認める。実績がある選手でも、突き動かすのは「ポジションを譲りたくない」という強い意思だ。「その思いはありますね。怪我をしてしまったらこうなりますから。若い選手の壁であり続けたいです」。明確な危機感を胸に、復帰戦のグラウンドに立つ。

「何回も言いますけど、まずはしっかり明日を迎えることです。怪我なく終わりたいですね」と静かに語った。そして続けたのは「いろんなことが起こりそうな1年かなと。その予感はします」。秋に必ず、ファンと一緒に心から喜ぶ。そんな予感であってほしい。

(竹村岳 / Gaku Takemura)