「技術的なことをまず整理しないとダメ」
ソフトバンクは11日、北九州市民球場で行われた日本ハム戦に6-3で勝利した。この日のヒーローに選ばれたのは山川穂高内野手。初回の同点打、7回にはリードを広げる2点適時二塁打を放つなど、3打数2安打3打点の活躍を見せ「(気持ちが)だいぶ楽になりました」と話した。
先発の大関友久投手が1点を先制された直後の初回の攻撃。1死一、三塁で、山川は同点の適時二塁打を放った。今宮健太内野手の適時打で1点を勝ち越した7回2死二、三塁では8球粘った末の9球目を左前へと運んだ。勝利を呼び込む2本のタイムリーに安堵の表情を浮かべていた。
9日に行われた熊本での同戦では、回ってきた全4打席が得点圏に走者を置いての打席だった。だが、併殺打1つを含み、全打席で凡退。得点に結びつけることができなかった。「僕が1本、2本打てていたらというのももちろん感じています」。試合後は敗戦の責任を背負い込むような言葉を口にした。悔しい思いを抱えていた山川は、熊本から福岡に戻ると、そのままPayPayドームの室内練習場に向かった。
「迷ったんですけど、やっぱり打とうと思って。12時半ぐらいですかね、1時前ぐらいまで」と、深夜にも関わらず、バットを振り続けた。試合のなかった翌10日は一部選手の練習が行われていたものの、山川はオフ。それでも、チームの練習が終わった頃にドームに姿を見せると、またバットを振った。
3度の本塁打王に輝いた実績、経験のある山川だけに、状態を立て直すための方法もわかっている。だからこそ取り掛かりも早かった。「技術的なことをまず整理しないとダメだなと思ったので、そこはちょっと。まだ始まったばっかりですし、疲れとかそういうのはなしにして、修正をちょっとかけたので、そこは今日は良かったのかなと思います」と、すぐに結果に結びつけた。
山川が修正した部分というのは“技術的な部分”。「それは内緒です」と、その内容を明かすことはなかったが、「ちゃんと仕留め切れたのでそれはよかったと思います」と納得の表情を見せた。修正ポイントは以前から考えていたことでもあった。「オープン戦である程度“打てちゃっていた”ので。でも、やっぱり実戦のスピード感になってくると、これぐらいだなっていうのはあるので、そこで(考える部分が)あったかもしれないです」。自身の不祥事によって生じた1年のブランク。“真剣勝負”の公式戦になると、また感じるスピードも違ってくるものだ。
オープン戦では16試合に出場し、打率.306、3本塁打、9打点。これまで積み上げてきた実績通りの成績を残した。しかし、シーズンが開幕し、9日までの成績は、打率.157、1本塁打5打点。物足りなさを感じる結果にも見えたが、本人にとってはそれも織り込み済みだった。
「その都度、毎年変わりますし、自分がそうやってるつもりでもそうじゃなかったりとか、その年とかその時々によって変わるので。でも、打ってる時っていうのは一貫してできていることがある。そこは今日はよかったですし、今日みたいな日を続けられるようにしていきたいなと思います」
自身の状態を把握し、修正できることも一流選手ならでは。打撃の調子とメンタルは関わる部分が多いとされることもあるが、技術こそが成績を左右するものだと山川は考える。
「打てなかったらもちろん落ち込んだりしますけど、打てば落ち込まない。打つためにはメンタルではないと思うんで。僕はあんまりそういうのは思わないし、今日みたいに打ったらやっぱり晴れやかに、打てなかったら『クソ!』ってなりますし。これの繰り返しの中で確率を上げていくためにはやっぱり技術だと思います」
12日から始まる古巣西武との3連戦は、プロ入り後から10年間慣れ親しんだ、ベルーナドームで行われる。西武の予告先発は今井達也投手。「もう球界を代表するすごいピッチャーになって、対戦するのも楽しみですし、嫌ですし、そういう気持ちでいいピッチャーと対戦するっていう気持ちで行きたいです」。まだシーズンは11試合を消化したばかり。ここからの山川の打棒爆発に期待だ。
(飯田航平 / Kohei Iida)