短い言葉の中にも、安堵の色が浮かんでいた。長い球団の歴史でも初めてとなる本拠地での開幕3連敗からスタートした2025年シーズン。5日までの開幕7試合で1勝6敗という苦しすぎるスタートに、柳田悠岐外野手は何を感じていたのか。
6日の西武戦(みずほPayPayドーム)。ホークスナインはうっぷんを晴らすかのように打ちまくった。極度の不振に陥っていた山川穂高内野手が、今季1号2ランを含む3安打5打点と大暴れ。4点リードの5回1死一、三塁では柳田が右前に適時打を放つなど、12安打11得点のお祭り騒ぎだった。
「いいところに(打球が)飛んでくれたと思います。チャンスを生かすバッティングができて良かったです」。広報を通してコメントした36歳。昨季限りで和田毅さんが現役を引退し、チーム最年長となった柳田。戦力としてはもちろん、精神的支柱でもある男が抱いていた思いとは――。
「明日(7日)は休みなので。いい気分で迎えられるのはうれしいですね。また火曜日から1試合1試合戦っていくだけです」
そう口にした柳田の表情は、柔らかかった。チームが今季2度目の3連敗を喫した5日の西武戦後、選手会長を務める周東佑京内野手はナインの思いを代弁していた。「まだ始まったばかりですし、周りが思っているよりもチームの雰囲気は別に悪くないので」。6日の試合後に取材対応した小久保裕紀監督も「佑京(内野手)も言っていましたけど、チームが暗くなってはいなかったので。焦りとかはなかったです」と同調した。
最年長としての責任はもちろん背負ったうえで、柳田も“普段通り”を貫いている。「勝てなくても気持ちは変わらなかったですね。毎日が違う1日なので。結果は別にしてやることをやるだけだと」。
言葉通り、開幕してからここまで全8試合で3番に座り、打率.323、2本塁打、6打点と力強くけん引している。「こっからまた次も勝てるように。それだけです」。“変わらない強さ”こそ、チームを支える男の源だ。