廣瀬隆太に「俺のおかげで打てていますって言えよ」 幸運を呼ぶチームリーダーのバット「返さないです」

  • 記者:長濱幸治
    2026.06.06
  • 1軍
廣瀬隆太【写真:荒川祐史】
廣瀬隆太【写真:荒川祐史】

5日のDeNA戦でも2安打…打率は5割まで上昇

 相次ぐアクシデントに見舞われたホークスにとって、数少ない光明となったのが25歳の存在だった。5日のDeNA戦(横浜)、「6番・一塁」で3試合連続のスタメン出場となった廣瀬隆太内野手が存在感を示した。得点にこそつながらなかったものの、4打席で2安打1四球の3出塁で、打率は5割に上昇。8回の守備では6点ビハインドの状況ながら、一塁側のカメラマン席ギリギリに飛んだ飛球を恐れることなくキャッチ。ワンサイドの展開にも集中力は途切れることがなかった。

 今季初先発となった3日の中日戦(バンテリンドーム)では延長11回に決勝の2点適時二塁打を放つなど、3安打2打点と猛アピール。5月26日に再昇格を果たして以降、持ち前の打棒で交流戦首位を走るチームに新たな風をもたらしている。

 飛躍を誓う3年目の今季、25歳に力を与えているのは“ある人物”からもらったバットだった。「『俺のおかげで打てています』って言えよ!」――。廣瀬が明かしたのは、チームリーダーとの間にあったほほえましいやり取りだった。

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この先で分かる3つのこと

廣瀬が断言! バットを「返さない」と決めた真相
「なんで自分は打てない?」…先輩が漏らした意外な本音
村松コーチが語った、廣瀬の快進撃が「必然」である理由

「再昇格してすぐ、周東(佑京)さんにバットをもらいました。メーカーさんからバットがまだ届かなくて、自分のバットと形も重さも同じだったので。『下さい』って言ったら『いいよ』って言ってもらって。周東さんからは『取材で好調の要因を聞かれたら、俺のおかげで打てていますって言えよ』と念を押されていますね」

廣瀬隆太(右)の肩に手をやる周東佑京【写真:荒川祐史】
廣瀬隆太(右)の肩に手をやる周東佑京【写真:荒川祐史】

コーチが指摘した“必然性”…「彼の努力」

 敵地でヒーローインタビューを受けた3日も、そしてマルチ安打を記録した5日も、廣瀬が手にしていたのは周東のバットだった。メーカーから新たなバットが届いたとしても「返すつもりはないですね(笑)。このまま使わせてもらうと思います」とニヤリ。運を呼び込んでくれたバットを手放すつもりは毛頭なさそうだ。

 周東自身も廣瀬の“リーク”を笑顔で認めた。「確かに言いましたね。でも『なんで自分は打てないんだろう』とは思います」。冗談を飛ばしつつも、可愛い後輩の活躍ぶりが嬉しくないはずがない。「まあ打てば勝てますし。いいんじゃないですか」。クールな表情を浮かべつつも、優しさにあふれた目は隠せなかった。

 25歳が快音を響かせているのは、もちろん運だけではない。「廣瀬は2軍でずっと打っていたし、早く1軍に上げたいという中でタイミングは遅かったかもしれないですけど。それでも状態を保ってくれたのは彼の努力ですし、まだ数試合ですけど、この形を続けてくれればいいと思います」。村松有人野手チーフコーチが賞賛したのは、チーム事情で2軍生活が続いても、腐ることなく好調をキープし続けた廣瀬の姿勢そのものだった。

 山本祐大捕手の左有鈎骨骨折が判明し、近藤健介外野手は右足首付近への死球で途中交代するなど、ここまで大きな離脱者が出なかった野手陣に立ち込めた“暗雲”。それを振り払うのは、ニューヒーロの存在だ。黙々と努力を続けてきた廣瀬隆太には、その“資格”が十分にある。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)