谷川原が燃やしたまさかの“復讐心”
劇的すぎるサヨナラ満塁弾によって生まれた歓喜の輪の中で、密かに狙っていた“復讐”――。15日に行われた日本ハムとのCSファイナルステージ第2戦(みずほPayPayドーム)。栗原陵矢内野手の試合を決めるアーチが中堅右のテラス席に飛び込むと、本拠地は熱気に包まれた。ゆっくりとダイヤモンドを一周し、軽くジャンプしながら本塁を踏んだ背番号「24」は、待ち構えていたナインにもみくちゃにされた。
誰もが喜びを爆発させるなかで、その“犯行”は目撃された。ヒーローに「膝蹴り」をかました男、それが谷川原健太捕手だ。劇的弾が生まれる直前に一塁代走として出場していた谷川原は、栗原のサヨナラアーチが飛び出した瞬間、まるで自身がアーチを架けたかのように拳を突き上げた。グラウンドを離れても一緒に過ごす時間が長い2人。1歳年上の大好きな先輩に抱いた純粋な喜び。それとともに、谷川原の脳裏によみがえったのは、5か月前に味わった“痛み”。試合後に「供述」したのは、まさかの復讐心だった。
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この先で分かる3つのこと
歓喜の輪で谷川原が見舞った膝蹴り…その裏にあった5カ月前の記憶
初のサヨナラ弾を放った日、谷川原を「ボコボコ」にした主犯格とは
「大乱闘スマッシュブラザーズ」で勝てない…栗原の意外な素顔とは
「チームが勝ったことも嬉しかったですけど、やっぱり栗さんが打ったのが一番嬉しかったです。仲良くさせてもらって、苦しんでいる姿も見ていたので。すごく……なんか思うところがありました」
試合後、谷川原は感慨深そうに歓喜の瞬間を振り返った。だが、ダイヤモンドを一周しながら徐々によみがえってきたのは、5か月前に“ボコボコ”にされた記憶だったという。ニヤリと笑いながら、犯行を振り返る。
「僕がサヨナラを打った時、頭をすごく殴られていたので。一瞬で『やり返してやろう』という気持ちになりましたね」
思い出したのは、5月8日のロッテ戦(みずほPayPayドーム)だった。谷川原がプロ初のサヨナラ打を放った試合だ。自身もナインから手荒い祝福を受け、ヒーローインタビューでは「すごく頭を叩かれたので。明日、脳振とうとか大丈夫かな」と話していた。その“主犯格”の1人が、実は栗原だった。
「思い出しましたよ。満塁ホームランで、僕とは状況が違いますけど。あの時にやられたことが浮かんできました。仕返しです。でも、叩いてくれたのが栗さんで僕は嬉しかったので。栗さんはどう思ったかわからないですけど、嬉しいと思ってもらえたらいいなと思います」
そんな谷川原も“別の被害”に遭っていた。栗原に手荒い祝福をする中で、なぜか山本祐大捕手にこっそり“ボコボコ”にされた。「殴ってきたんですよ。結構痛かったし。『バーン!』って衝撃が走りました」。喜びが爆発した“現場”は大騒ぎだった。
谷川原が明かす栗原への感謝と憧れ
サヨナラ弾を放った栗原は「谷川原の声がうるさかった」と振り返っていた。当の本人は、何を叫んでいたのか。「興奮して、嬉しかったので。もうわかんないです(笑)。『栗さーん!』とかだったと思うんですけど。めっちゃ声を出しちゃいました」。喜びも、仕返しも、日頃から抱いている感謝があるからこそだ。
「本当に野球もそうですけど。私生活でも人を巻き込む力とか、コミュニケーション能力もすごいので。そういうところも人としてすごい。練習から考えてやっていますし、トレーニングもすごくやっている。真似できたらいいなって。本当にああいう選手になりたいなと思わされる選手です」
最近、2人の中でのブームは「大乱闘スマッシュブラザーズ」だ。「ロッカーでやっているんですけど、ボコボコです。1勝10敗とかで、栗さんに全然勝てないので。今は練習中です」。最後には「良い手本がすぐそばにいるので、僕も見習ってやりたいなと思います」と真剣な表情で明かした。日本シリーズまで、あと1勝。歓喜の瞬間に行われた「犯行」には、先輩への感謝と、5か月越しの小さな“仕返し”が詰まっていた。
(森大樹 / Daiki Mori)