ドラフトで相次いだ海外在籍選手の指名
サプライズ指名が相次いだワケ――。ホークスは22日、都内のホテルで開催された「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」で、支配下9選手、育成15選手を指名した。大量24人の交渉権を獲得した中、目を引いたのが、日本以外でプレーする選手が多く指名されたことだった。その背景には、球団独自の明確な戦略があった。
8位で名前が呼ばれたのは、国立台湾体育運動大の深見一騎投手。日本生まれ、台湾育ちの右腕は最速151キロを誇る。育成3位では、韓国プロ野球(KBO)のKTウィズでプレーする杉本幸基投手を指名。韓国を舞台に、今シーズンは73試合登板を果たしている。育成10位、フレズノ・シティ大の根鈴風大内野手は、米国でマイナーリーグを経験した根鈴雄次氏を父に持つ。バラエティーに富むドラフトとなった。
そして、会場をもっともざわつかせたのが、支配下最後の9位でペンシルベニア州立大の佐藤幻瑛投手を指名したことだった。最速159キロの右腕は、仙台大の3年時に同大へ編入するために海を渡った。来夏のMLBドラフトを経てメジャーに挑戦することを見据えている。
海外在籍選手の指名が相次いだのはなぜなのか――。
そこには球団が描く戦略と、意外な「人と人の縁」があった。さらに担当スカウトが1度の視察で衝撃を受けた159キロ右腕・佐藤幻瑛の投球――。異例ともいえるドラフト戦略の舞台裏に迫った。
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この先で分かる3つのこと
異例の海外指名を生んだ、担当スカウトの「意外な縁」
159キロ右腕を見たスカウトが語る「衝撃の評価」
勝算なし?MLB挑戦を見据える右腕を指名した理由
「別に何か奇をてらっているわけでも、何でもないんです。日本の若者が世界中に出ていく時代ですし、『人の縁』がすごくあるのかなと思います。選手というのは、本当に突然成長したりするものなので。その良くなったタイミングを見逃さないというか、アンテナをいろいろと張っていたのはありました」
そう語ったのは、海外でプレーする4選手の担当スカウトを務める山本省吾スカウティングスーパーバイザーだ。「チームの現有戦力にも素晴らしい選手がいっぱいいますから。そことの競争の中で勝負ができると思えば指名しますし。現有選手の方が力があれば、そっちを優先します」。所属先にとらわれず、選手の能力を第一に考え、良い選手を指名するというシンプルな考えだった。
その中で、山本スカウトが強調したのが「人の縁」だった。育成3位で指名した杉本は、今季、韓国リーグで最多ホールドのタイトルを獲得。「私と同じ石川県出身の子で、高校は大垣日大高だったんですけど。(前監督の)名将・阪口(慶三)さんは、僕が高校日本代表の時のコーチですから」。大垣日大高、日大、四国IL・徳島時代から調査を続け、その成長を見守ってきた。
8位・深見のことは、台湾の高校時代から追いかけていたという。「3年前から見ています。その時はまだまだでしたけど、本当に良くなったのはこの夏以降なので」。海外で“逸材”を見つけたのではない。ドラフト候補へと成長を遂げる前から、ホークスは独自の情報網を存分に活かして調査してきた。
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159キロ右腕・佐藤幻瑛に受けた衝撃
山本スカウトが渡米した時、9位・佐藤の投球を視察した。「1度だけだったんですけど」と前置きしながらも、実際に目にした最速159キロ右腕からは大きな衝撃を受けた。
「素晴らしいピッチャーです。球を見たらすぐにすごいのは分かりましたし、びっくりしました。今すぐにでも1軍の勝ちパターンで投げられます。先発で言えばローテーション。もう間違いないです。交渉権を取るというのは、戦略上ですね」
永井智浩編成育成本部長兼スカウト部部長は、佐藤の指名について「勝算があって行ったということではないです」と説明する。「今後は当然、順調にいったらそうなる(MLBドラフトの指名候補になる)でしょうし、逆に順調にいかなかったケースというのも、そんなものは誰にもわからない。その時のために、うちが交渉権を持っているということです」。昨年、佐々木麟太郎内野手(マーリンズ)をドラフト1位で指名したケースとは異なり、今回はあくまでも佐藤が米国でのプレーを続けることを前提としていた。
海外でプレーする選手の指名が目立った2026年のドラフト。「『どこに所属しているからトライしたいな』というよりは、能力が先に来て、こういうところの選手もトライしていきたいなというような順番で入っています」。山本スカウトと同様に、永井本部長も選手の能力が最優先であることを強調していた。海外に在籍する4選手の指名を実現させたホークスのドラフト戦略。プロへの扉を開いた選手たちが今後、どのような道を歩むのか楽しみで仕方ない。
(森大樹 / Daiki Mori)