バッターとしても高く評価される理由が詰まった一戦だった――。「試合展開的にも大きい追加点を取ることができて良かったです」。約4か月ぶりのアーチとなった3号3ランを振り返ったのは、山本祐大捕手だ。
23日に本拠地・みずほPayPayドームで行われた西武戦。山本祐は5回の第3打席、2死一、二塁の場面で4球目のアウトハイの真っすぐを完璧なタイミングで捉え、左中間テラス席へと運んだ。5月28日の巨人戦(東京ドーム)以来となる、移籍後3本目の本塁打となった。
9月は試合前の時点で13試合に出場して打率.174、0本塁打8打点と打棒が下降気味だった。久々に飛び出した一発に、本人は何を感じているのか。そしてベンチから見た打撃の現状と、求められる役割を理解している打者だからこそ、見えていた“後手”の正体とは――。
「ホームランを打つ打者ではないですけど、打てるなら打ちたいとは思っているので、出て嬉しいなと思います。数字に関しては、打てる時もあれば、打てない時もあるので、特別気にすることはないですよ」
淡々と振り返った背番号「39」。まさにこのコメントと同じように山本祐の姿を見ていたのは、松葉真平アナリストだ。結果だけを見れば数字は落ちているが、「自分の打撃成績だけを考えるようなバッターではないので」と、冷静にそのバッティングを分析する。
「正直、気負ってしまっていた部分もあったのかなと思います。今日で言うと、初回の二、三塁の場面。最初は内野が下がっていたので『バットに当てれば1点』と考えられるバッター。そういったクレバーさと、ベンチから求められている役割というのが理解できる選手だからこそ、後手に回ってしまうところもあった印象です。自分の打撃成績だけで考えないような選手なので、そこは本当にすごいですよね」
松葉アナリストが振り返ったのは、初回の場面だ。1死二、三塁で、西武の守備は定位置。確実に1点を奪うために、山本祐もなんとかバットに当てようとしていた。結果的に三塁へ高くバウンドするゴロを放ち、三塁手は本塁へ送球したがセーフ。野選で1点を追加する形となった。
クレバーであるがゆえの“後手”――。以前、伴元裕メンタルパフォーマンスコーチも「祐大の場合は考える量をどれだけ減らせるかが、すごく大切なんです。チームのことを考えすぎて、崩れていくみたいなパターンもあるので」と話していた。チームのために何ができるのか、状況を理解して求められる役割を考えられることは、山本祐の大きな強みだ。
一方で、その思考の深さが、自分の打撃を後手に回してしまうこともある。ただ、この日は違った。本塁打の場面では、2ボール1ストライクからアウトハイの真っすぐを豪快に振り抜いた。状況に応じて最善を選択するクレバーさだけではなく、自分のスイングを信じて振り切る積極性も光った。
豪快な一打を小久保裕紀監督も「あの追加点が欲しい場面で、しっかり3ランでゲームを決めた。そういう一打だった」と称えた。チームにとって何が必要なのかを考え抜き、自らのバットで応える――。そこには、山本祐大という選手が高く評価される魅力が詰まっている。