大津と山本祐が初バッテリーを組んだ理由
なぜ、このタイミングでバッテリーを変更したのか――。大津亮介投手は14日、みずほPayPayドームで行われた楽天戦に先発した。この試合でマスクを被ったのは、今季全16先発で捕手を務めていた海野隆司捕手ではなく、山本祐大捕手だった。初のシーズン10勝目をかけた大事なマウンドで生まれた初コンビ。そこには首脳陣の明確な意図があった。
大津は初回、YG安田に3ランを浴びるなど、いきなり4失点する苦しい立ち上がりとなった。それでも2回以降は走者を背負いながらも粘り続け、7回6安打4失点と試合を作った。小久保裕紀監督も「今日はピッチャーを1人使わずに済んで、入れ替えなしでいける。それは(大津の)貢献なので。年間通して野球ですから」と粘りの投球を評価した。
試合前の時点で9勝2敗と、今シーズンのホークスを支えてきた大津と海野のバッテリー。そんな2人を、なぜ優勝争いの佳境に入ったタイミングであえて変えたのか。首脳陣が口にしたのは、意外な言葉だった。「海野はラッキーですね」――。
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この先で分かる3つのこと
細川コーチが語る「海野はラッキー」の真意と自身の体験
初バッテリーの大津亮介が明かした「マウンドでの新発見」
出場減の海野隆司が見せる姿勢に首脳陣が感銘を受けた訳
「次に大津が、祐大ではなくて海野と組んだときに幅が広がると思う。だから海野は絶対にマイナスに捉えないでほしいです。また良い刺激になると思うんですよ。祐大がマスクを被ったから(気持ち的に)落ちるのではなく、それも海野の1つ勉強だと思って。海野はむしろラッキーなんじゃないかなと自分は思っています」
こう語ったのは細川亨バッテリーコーチだ。変更の理由を小久保裕紀監督は「景色を変えてやろうかなと」と明かしたが、細川コーチが口にしたのは「絶対、海野にとってはプラスになる」という言葉だ。その根底にあったのは、細川コーチ自身が2010年オフにFAでソフトバンクへ入団した時の経験だった。
「杉内(俊哉)が(山崎)勝己とバッテリーを組んでいるのを見て、『あ、こういうやり方もあるんだ』と思ったんです。それを違う左ピッチャーの時に使わせてもらったりとか。逆にめちゃくちゃ良かったですよ。『バッターの性格上、左ピッチャーの時はこうだけど、右ピッチャーの時はこうしたらどうだろう?』みたいな発想がどんどん浮かんできたんです」
大津は試合後「新しい組み立てというか、色々なことにチャレンジできた。そこは新しい発見」と、山本祐との初バッテリーを振り返った。海野にとっては、今季初めてベンチから大津の投球を見つめる時間になった。細川コーチは「前半と後半で大津の状態も違いますし、ベンチから見ているのと、試合でやっているのとでは見え方が違う。海野も祐大も大津も、みんな色々と勉強になったと思いますよ」と目を細めた。
首脳陣が見た海野の成長「ワクワクしている」
海野は5月12日に山本祐がトレードで加入してから、徐々に出場機会を減らしてきた。上沢直之投手の相棒としてもマスクを被ってきたが、4日の日本ハム戦(京セラドーム)で山本祐に初マスクを譲ると、この日もベンチから試合を見守ることとなった。悔しさがないはずはない。だが首脳陣は、海野の成長を確かに評価している。
「試合に出ていなくてもベンチでめちゃくちゃ声も出していますし、メモもすごく細かく取っています。人のプレーを見て自分のレベルを上げている。彼なりにやっていると思いますし、良い成長をしているんじゃないかなと思って見ています。何よりも祐大が来て、海野がどんどん成長していく姿が見られることにすごくワクワクします」
正捕手争いの激化が生んだ相乗効果――。景色を変えたことで、大津にも、山本祐にも、そして海野にも間違いなく新たな発見と刺激が生まれた。優勝争いの佳境で生まれた“初バッテリー”。この1日での経験は、今後の重要な一戦を迎えるにあたり、新たな引き出しとなるはずだ。
(森大樹 / Daiki Mori)