山本祐大の1軍合流を小久保監督が明言
「僕もそうなりたいなって」。一流の背中を、後輩はしっかりと見つめていた。
左有鈎骨の骨折で離脱していた山本祐大捕手が21日のオリックス戦(みずほPayPayドーム)から1軍に合流することを、小久保裕紀監督が20日のロッテ戦(ZOZOマリン)の試合後に明言した。2軍で過ごした、ここまでの1週間。その姿を見つめた首脳陣は「すごく良いお手本になったんじゃないですかね」と口をそろえた。
山本祐は5月12日にDeNAからトレードで加入。14試合に出場して打率.349、2本塁打、9打点と鮮烈な印象を残したが、左手を骨折し、6月12日に「左手有鉤骨鉤摘出術」を受けた。当初は競技復帰まで「2〜3か月」と見込まれていたが、手術からわずか32日後となる14日のファーム・リーグ阪神戦(倉敷)で実戦復帰。2軍では5試合に出場して、打率.375(16打数6安打)をマークし、結果で示して1軍合流をつかんだ。
リハビリ組からの1軍復帰に向けた調整という位置づけではあったが、2024年にゴールデングラブ賞とベストナインを受賞した実績を持つ捕手が、約1週間をファームで過ごした意味は大きかった。若鷹たちは、その姿から何を学んだのか――。「祐大さん、本当にスーパーキャッチャーなので」。3人の言葉から、及ぼした”好影響”を紐解いた。
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この先で分かる3つのこと
首脳陣が明かす「誰が守っても一緒」にならぬリード術
斉藤2軍監督が感銘を受けたミーティングでの「言葉」
若手・藤田が「僕もそうなりたい」と憧れた一流捕手の姿
「展開が悪くなった時に立て直すというか、テンポを少し変えてみたり、配球のパターンを変えてみたり……。色々な引き出しを見せてくれたと思います。配球で変えられることもあれば、テンポで変えられることもある。それらを全部含めて『リード』なんですよね。祐大はほとんどが初めて組む投手だった中で、それに対応できていた。それだけ多くの引き出しを持っていますし、若いキャッチャーたちにとってもすごく良い勉強になったんじゃないですかね」
そう語ったのは、高谷裕亮2軍バッテリーコーチだ。この1週間で特に印象的だったのは、ベンチ裏やブルペンで投手陣と積極的にコミュニケーションを取る姿だったという。「キャッチャーは、ピッチャーと話をしながら『今、何かできることはないか』を常に探していくことが大切なんです。『調子が悪かったからダメでした』だったら、誰が守っても一緒ですから。そういう姿を近くで見られたことは良かったんじゃないですかね」。
ミーティングでの振る舞い「僕もそうなりたい」
山本祐はこの1週間、バッテリーミーティングにも参加していた。斉藤和巳2軍監督が「若いキャッチャーはすごく勉強になっている」と語ったのは、その場での振る舞いや言動だった。
「やっぱり実績や経験があるキャッチャーは、自信を持って発言している。ただ一方的に話すのではなく、ピッチャーとしっかりコミュニケーションを取った上で発言している。それは試合の中でも表れていたと思うよ」。投手陣の映像をしっかり見て2軍に合流し、試合の中でも「良いところを引き出そう」と繰り返し会話を交わしていた。
「経験の差もあるとは思うんですけど、人前で話すのが上手だし、人とのコミュニケーションも本当に上手。祐大さんも、嶺井(博希)さんもそうなんですけど、本当にたくさんの人と話してきたんだろうなと感じる場面が多いです。僕もそうなりたいなって思います」
高卒3年目で、1軍昇格を目指す藤田悠太郎捕手も、素直な憧れを口にした。「祐大さん、本当にスーパーキャッチャーなので。バッティングを見ていても『これが1軍で打つキャッチャーの打撃なんだな』って思います」。練習中も「見ておかないと」と口にして、プレーだけでなく、何気ない行動まで目に焼き付けようとしていた。
藤田にとって、その姿は「学びです」
「やっぱりミーティングでの話し方や言葉遣いも、経験していくしかないんですよね。それにブルペンでのピッチャーとの会話、試合での立ち振る舞い。それを感じ取れたかどうかが大事で、感じ取れたなら、あとはどう活かすかです」
高谷コーチが強調したのは、「見て終わり」ではなく、その学びを自分のものにすることだった。「僕自身もそうでした。最初は難しかったですけど、試合に出させてもらって経験して、色々試して失敗して。その繰り返しです。祐大の姿は、若いキャッチャーたちにとって本当に良い勉強になったと思いますよ」。
藤田も「学びです。とにかく何でも吸収しようという感じです」と力強く口にする。山本祐が2軍で過ごした1週間は、大きな財産となったに違いないーー。
(森大樹 / Daiki Mori)