横浜“凱旋”はおあずけも「運がなかった」
プロ入りから8年間を過ごした横浜の地で、ホークスの一員としてのプレーを見せることはできなかった。「トレードになって、その直後に横浜でプレーできるというのは今年しかないと思っていたので……。なんとか試合に出たかったですけど、まあ仕方ないですね。運がなかったってことだと思うので」。悔しさをにじませつつも、前を向いたのは山本祐大捕手だった。
DeNAの正捕手としてホークスに加わった27歳は、前評判通りの力を見せつけていた。14試合に出場して打率.349、2本塁打、9打点をマーク。先発出場した13試合は9勝4敗と、チームに上昇気流を作り出した。しかし、6月3日の中日戦(バンテリンドーム)で負傷し、途中交代。検査の結果、「左手有鈎骨の疲労骨折」と診断され、同6日に出場選手登録を抹消された。
その後も1軍に帯同し、バッテリーミーティングではセ・リーグの情報を共有するなど、山本祐にしかできない“仕事”を続けている。競技復帰までのめどが明らかになっていない中で、本人が口にした「シーズン終盤には……」。27歳が続けて口にしたのは、“強烈な危機感”だった。
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この先で分かる3つのこと
クビ覚悟の理由は?山本の根底にある“衝撃の野球観”
怪我をしても…常識を覆す独特の思考法とは
離脱中の1軍帯同…本人も驚いた球団の真意
「チームに必要とされる、されないは別として、シーズン終盤に戻れるようにとは思っています。僕もやらないとクビになるので。またしっかりと結果を残せるようにと。こればかりはどうなるか分からないですけど、できるだけ早く戻ってきたいとは思ってます」
生き様が現れる怪我の考え方「したほうが割り切れる」
山本祐の口からでた「シーズン終盤」の言葉が、今回の故障の程度を物語る。チームとしては無理をして早期復帰した結果、再び離脱という事態だけは避けたいところだろう。「チーム状況的に考えても、自分が『結果を残せる』という状況になって、監督が『必要だ』と思ってもらえたら(1軍に)上がれると思うので」、山本祐自身も焦りや悔しさを胸にしまいつつ、冷静に現状を見つめている。
プロ野球選手にとって、怪我をしないことが重要なのは間違いない。それでも、山本祐の捉え方は独特だ。
「性格的には『怪我でプレーができなくなったら仕方ない』と思っているので。むしろ怪我をした方が割り切れるじゃないですか。そうならないようにブレーキをかけて結果が出ないとか、『俺は怪我をしなかったら、やれたんだ』とか。そういうことを思いたくないので。そうなったら実力不足だし、もう怪我をするまでやる。それでクビになったらしゃあない、と思っています。それが良いのか悪いのか別にして、僕はそういう性格なので」
2017年ドラフトでDeNAに9位指名された山本祐。この年の支配下選手では、12球団を通して“最下位指名”だった。そこから這い上がり、球界を代表する捕手にまで成長した27歳。怪我の捉え方一つにも、その生き様が表れている。
1軍ではトレーナーの治療を受けつつ、自らの経験を還元していく。「1軍に帯同してくれと言われて、純粋に嬉しかったですね。プレーできないのは悔しいですけど、必要とされるのは選手として一番嬉しいことなので」。ホークスに加わって間もない中で、投手陣とのコミュニケーションもさらに深めていくつもりだ。復帰までの期間を一瞬たりとも無駄にするつもりはない。
「やってしまったことは、もうしゃあないので。頑張ります」。しっかりと傷をいやし、再び1軍に戻ってくるときには、さらなる進化を遂げた山本祐が見られるに違いない。それまではチーム一丸で厳しいペナントレースを戦い抜いていく。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)