電撃トレードは「予想もしていなかった」 秋広&大江が振り返る“5.12”…抱いていた「終わるかも」

  • 記者:森大樹
    2026.05.14
  • 1軍
大江竜聖(左)と秋広優人【写真:加治屋友輝、竹村岳】
大江竜聖(左)と秋広優人【写真:加治屋友輝、竹村岳】

秋広と大江が1年前のトレードに思うこと

 1年前の記憶が蘇るような電撃トレードだった。ソフトバンクの尾形崇斗投手、井上朋也内野手と、DeNAの山本祐大捕手による2対1の交換トレードが12日に成立した。「1年早かったな、と思います」。そう言葉を漏らしたのは秋広優人内野手だ。

 ちょうど1年前の2025年5月12日。ソフトバンクと巨人の両球団から、リチャード内野手と、秋広、大江竜聖投手による1対2のトレード成立が発表された。秋広は「正直、予想もしていなかったことで。自分の中で最初は戸惑いもありました」と当時の心境を振り返る。

 共に新天地で1軍も経験し、自身の野球人生の分岐点となった“あの日”から1年――。秋広と大江の2人は今、何を思うのか。こぼれたのは、紛れもない本音と前向きな言葉だった。

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この先で分かる3つのこと

巨人時代に抱いた「終わるかも」という焦燥感
驚愕した選手層の厚さと着手した「肉体改造」
2軍で秋広が誓った「最後に笑うための決意」

「正直、このままじゃ終わるかもって(思っていました)。それが今、新しい環境で、この1年で色々なフレッシュな経験ができて。全てが“タイミング”だったのかなと思います」

 そう振り返ったのは大江だ。巨人では2020年に43試合、2021年に47試合に登板した左腕も、年々登板機会を減らし、2024年は16試合。2025年は開幕を2軍で迎えていた。ひたすらチャンスを待つ日々に「何を目指すとかもなくやっていた時期もあった」と、胸の内を明かす。そんな中で訪れた転機が、昨年のトレードだった。

 移籍後、昨季は16試合に登板して防御率1.53の好成績をマーク。何よりも新しい環境が大きな刺激になった。「みんな球が速いし、体も大きいので。育成や高卒で入団してくる選手たちもすごいですし。僕も負けないように、と思ったりもしました」。自身もウエートトレーニングの強度を上げるなど、新しい取り組みを始めた。

 今季はオープン戦期間中の体調不良で出遅れ、開幕は2軍スタートとなった。それでもファーム・リーグで11試合連続無失点、防御率0.00と結果を残し、13日に今季初昇格を果たした。トレードは「確実に(大きな転機に)なった」と力強く振り返る。

2軍で苦しい時間が続く秋広「最後の最後に」

 一方、秋広は1年が経ち、“見送られる側”から“見送る側”になった。今回、トレード移籍した井上とは同学年で、遠征先では一緒に食事へ行くほど仲が良かった。

「もちろん寂しい気持ちもあります。でも、層の厚いホークスで(トレードの)予想はゼロじゃなかったです。僕も(移籍する側の)気持ちは分かりますし、お互いに頑張れたらなと思います」。トレードが決まった直後には井上から連絡があり、冗談を言って笑顔で送り出した。

 自身もトレードで移籍した直後、スタメン出場した試合で3試合連続ヒーローになるなど、鮮烈な存在感を示した。「ジャイアンツでの最後の2年間は、なかなか思うような成績が出せていなかったので。野球人としてプラスに捉えて、心機一転やってやろうという気持ちだけでした」と当時を振り返る。

 今季はオープン戦でチームトップの3本塁打を記録するも、開幕直前に2軍降格を告げられた。その後はファーム・リーグで22試合に出場し、2本塁打を放つも、打率.186、7打点と苦しい時間が続いている。

「数字がいいとは言えない状況ですけど、キャンプからの練習はしっかり継続してできている。それは1年が始まる時に『やることは変えない』と決めたことなので。でも長いシーズンの最後の最後に『勝った』と思えるように。1軍に呼んでもらえるように頑張ります」

 今も前を向いて1軍での躍動を誓う2人。1年前のトレードは間違いなく“1つのきっかけ”になった。今回のトレードで新天地へ向かった3人にとっても、これが新たな契機となるかもしれない。

(森大樹 / Daiki Mori)