山本祐が放った同点三塁打、三塁上での雄叫びに見えた思い
日本一を懸けた大一番、魂の雄叫びには様々な感情が滲んでいた。ホークスは28日、みずほPayPayドームで行われた「SMBC日本シリーズ2026」第4戦でDeNAを破り、4連勝で日本一に輝いた。「打った時はすごく気持ちが高ぶって、叫んでしまったので、ちょっと喉が痛いんですけど、すごく嬉しかったです」。そう振り返ったのは、同点打を放った山本祐大捕手だ。
先発の前田悠伍投手が初回に2ランを浴び、先制点を献上した。打線は相手先発・平良の前に3回を終えて無得点に抑えられていたが、4回にチャンスが訪れた。2死二塁で栗原陵矢内野手が打席に入ると、DeNAベンチは申告敬遠を選択。この日5番に入っていた山本祐との勝負を選択した――。
今年の5月まで在籍していた古巣から、目の前で取られた「敬遠策」。球場のボルテージも上がる中、山本祐が打席に入った。145キロの直球を右翼線へ弾き返すと、2走者が生還する同点の2点三塁打。試合を振り出しに戻す一打を放つと、三塁ベース上では、これまで見たことがないほどに感情を爆発させた。
5月12日にDeNAからホークスにトレードで加入した背番号39。激動のシーズンを経て迎えた日本シリーズは、9年間を過ごした古巣との対戦でもあった。「個人的な思いもいろいろあった中だったんですけど……」。日本一を掴み取りようやく口にできたのは、胸に秘めていた特別な感情。そして、その雄叫びを最も近くで見ていた人物が、山本祐の姿から伝わってきた“心の叫び”を明かした。
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この先で分かる3つのこと
三塁コーチが明かす、あの魂の雄叫びに込めた「真意」
細川コーチが見抜いた、打席内で起きた「2球目の異変」
出番なき前戦、首脳陣を驚かせたベンチでの「異様な姿」
「元チームメートばかりだったので、心を鬼にしてじゃないですけど、もう自分たちが勝つこと、ホークスが勝つことだけを考えてやれたので。それはすごく自分自身も成長できたなと感じましたし、すごく良かったなと思います」
さまざまな記憶を思い返すように、シリーズを振り返った。2017年ドラフト9位でDeNAに入団し、侍ジャパンに選出されるほどのプレーヤーに成長した。佐野恵太外野手、牧秀悟内野手ら慣れ親しんだ仲間たちと日本一を懸けて戦うことになり、「すごく縁を感じました」。真剣勝負で挑んだ頂上決戦。ホークスの一員として、チームの勝利だけを考えて戦い抜いた。
「個人的な思いもいろいろあった中だったんですけど、なんとかチームの日本一というところに貢献したいと思っていました。結果として出たのはすごく嬉しかったなと思います」
首脳陣が見た山本祐の執念
同点の2点三塁打。熱い雄叫びを、最も近くで見ていたのは、三塁ベースコーチを務める大西崇之外野守備走塁兼作戦コーチだった。貴重な一打、そして鬼気迫る表情からは燃える思いが伝わってきた。
「もう三塁ベース上でめちゃくちゃ吠えとったよ。でもそれくらいDeNAに『俺はどこのチームに行ってもやれるんだよ』という姿を、見てほしかったんだと思う。敬遠されての勝負やったから、余計に燃えていたと思うしね」
ベンチから見守っていた細川亨バッテリーコーチも「目の前で敬遠されて、あの男が燃えないわけがない」と打席での思いを感じ取っていた。「絶対打つだろうなと思いました。1球目で引っ張りの打球を放った時は『やっぱり力んでいるな』って思ったんですけど、2球目から姿が変わったので。体は熱くなっているけど、頭の中はすごく冷静になっているなと思って見ていました」。
第3戦で先発マスクを被ったのは海野隆司捕手だった。山本祐はベンチスタートとなったが、出番を待っている時間でも前のめりな姿勢が溢れ出ていたという。「ベンチで見ていた時の視線が、シーズン中だとちょっと背もたれにかけているんですけど、もう前のめりになって、ずっとバッターの方を見ていて。相当試合に入っているなっていうのはあったので」と細川コーチ。一挙手一投足に、このシリーズにかける気迫が表れていた。
ホークスの一員として臨んだ古巣との頂上決戦。「まさかこんなに注目されるシリーズになるなんて、想像もできなかったです。福岡のファンの皆さんも、横浜のファンの人も、すごく熱い声援を送っていただいていたので、なんとか元気な姿を見せられて、それが一番嬉しいなと思います」。新天地で日本一をつかんだ2026年。山本祐大にとっては忘れられない1年間になった。
(森大樹 / Daiki Mori)