中村稔弥が日本Sの40人枠外、明かした現在地
突然告げられた“メンバー外”という現実を、左腕はどのように受け止めたのか――。「みやざきフェニックス・リーグ」が行われている宮崎の地で、中村稔弥投手が告げられたのは日本シリーズの出場資格者名簿から外れているという事実だった。「メンバーには入っていないことを聞きました」。そう話す表情には悔しさが滲んでいた。
昨年12月の現役ドラフトでロッテからホークスへ加入。今シーズンは開幕こそ2軍スタートとなったが、6月7日に今季1軍初昇格を果たした。1軍では主にビハインド場面でのリリーフとして7試合に登板して防御率2.70。しかし、登板機会は徐々に減少し、8月7日に登録抹消となると、以降はファームで汗を流していた。
日本シリーズの「40人枠」を外れることは、1軍選手として2026年シーズンが終了したことを意味する。現役ドラフトで移籍し、過ごした激動の1年間。胸に刻んだ思いは「チャンスを逃したら、一生回ってこない」――。“宝刀”を封印して臨んだ登板に感じた手応えを口にした一方で、7月に30歳を迎えた左腕が現在地を明かした。
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この先で分かる3つのこと
常勝軍団に移籍して痛感した「本当の凄み」
あえて“宝刀”を封印して挑む、新たな投球術
理想として名指しした「先輩左腕」の正体
「(現役ドラフトによって)環境が変わって。最初から1軍枠を目指して、自分の中では常にベンチ入りするつもりで頑張ってきました。でもホークスは本当に強い。とにかく目の前のチャンスを逃したら、一生回ってこない。1軍に上がった時、『絶対にこのチャンスを逃せない。どんな事があっても絶対に無失点で抑えるんだ』という気持ちはありましたね」
移籍してすぐ、身をもって感じたホークスの層の厚さと強さ。同時に「すごいだけじゃなくて、みんな毎日トレーニングをやっている」と練習量にも驚かされた。「1軍で投げて、自分がやれる部分も分かりましたし、投げるためにはどういうところに取り組んでいかないといけないかも分かりました」。自らの現在地を知った。
1軍でのロングリリーフも見据え、2軍ではシーズン途中から先発を経験。5月28日のファーム・リーグ日本ハム戦(タマスタ筑後)では1失点で完投勝利を挙げるなど、結果を残したうえで6月7日に今季初昇格をつかみ取った。6月24日のオリックス戦(みずほPayPayドーム)では5年ぶりに1軍で先発登板。「やっぱりこの世界は、本当に1年が勝負。その中で求められる存在になっていかないといけない」。フェニックス・リーグでは1軍でも勝負ができる真っすぐの強化を課題として向き合っている。
あえて決め球ツーシームを封印、理想に描く先輩左腕
10月12日に行われた広島戦(天福)では、先発で4回3失点の投球だった。「自分がやりたいことはやれているなという感じはありました」と、一定の手応えを感じていた。実はこの登板、自身の決め球であるツーシームを封印していた。「真っすぐとカーブだけで4イニングを投げたんです。今はとにかく小笠原(孝2軍投手)コーチと真っすぐの強さをテーマに取り組んでいて。ツーシームを投げると、そこにばかり頼ってしまうので……。だから封印しました」。ホームランを許したのも、いつもであればツーシームを投げるカウントで投じた真っすぐだった。
「前は球速を上げようという気持ちが強くて。でも1年取り組んでみたんですけど、結局『そこではないな』と思って。投げ方がうまくできていれば、球速も自然と出てくると思うので。目指すのは和田(毅)さんみたいな。球速よりも、バッターから速く見える球を目指して今は取り組んでいます。真っすぐで押せたら、きっと投球の幅も広がると思うので」
今は悔しさを胸の中に抑えて、次のチャンスに向けて腕を振り続けている。「フェニックスでは僕が最年長というタイミングもあったので。気持ち的にキツい時もあるんですけど……。でも結果を求めるんじゃなくて、来年につなげようというだけですね。自分の中では良い方向に進んでると思っています」。チームは日本一に向けての戦いを続けているが、来年のメンバーを争う戦いは既に始まっている。この時間がきっと、中村稔弥をさらに強くする。
(森大樹 / Daiki Mori)