好救援を見せた鈴木豪「いつも通りのいい緊張感」
すごい23歳だ。大一番で見せた強心臓ぶり――。その性格は、試合前日に交わした先輩との会話にも表れていた。「CSだからといって特別に緊張するとかはなく、いつも通りのいい緊張感でいけたかなと思います」。充実した表情で振り返ったのは、ドラフト3位ルーキーの鈴木豪太投手だ。ポストシーズン初登板で、チームの逆転劇を呼び込む好投を見せた。
14日にみずほPayPayドームで行われた日本ハムとのCSファイナルステージ第1戦。先発のリバン・モイネロ投手が3点を失い、3回途中で降板した。なおも2死満塁のピンチでマウンドに上がったのが鈴木豪だった。山縣を4球目のカットボールで遊ゴロに打ち取り、回をまたいだ4回も3者凡退に抑えた。直後に打線が逆転し、ポストシーズン初勝利が舞い込んだ。
レギュラーシーズンでは40試合に登板し、4勝1敗5ホールド、防御率1.74を記録したルーキー右腕。「シーズン通りに投げられれば、抑えられると思っていたので。自信を持って腕を振りました」。大舞台でも窮地を窮地とも思わないその姿――。気負わない性格が表れた、前日の庄子雄大内野手との”会話”があった。
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この先で分かる3つのこと
先輩からの助言を忘れる?強心臓ルーキーの意外な素顔
熟睡からサウナまで。大一番前夜の「いつも通り」の過ごし方
入団時から変わらない「ある言葉」に隠された好投の理由
CSファイナル開幕前日の13日、選手たちは本拠地で行われた全体練習で汗を流した。筑後の寮で生活する鈴木豪は庄子の車に乗せてもらい、行き帰りの時間を共にした。「車の中で『CSって緊張するんですか?』みたいな会話はしましたね」。ポストシーズン初経験の後輩に対し、先輩の庄子が送った助言。鈴木豪にどんな言葉をかけられたのか聞いてみると、返ってきたのは予想外の答えだった。
「いや、正直なんて言われたかは覚えてないです(笑)」
何気ない会話だったからこそ、記憶に残っていないのかもしれない。それでも、大一番を前に気負う様子のない姿に、鈴木豪らしさがにじんでいた。夜もリラックスして過ごした。「ゆっくりサウナに入って、結構早く寝ましたよ。夜は11時に寝て、朝9時半に起きました。ぐっすりでした」。初めて経験するCSへの意気込みを聞いても、返ってきたのはいつも通りの言葉だった。
「今は『CSってどんな感じなのかな』という気持ちの方が強いですね。全然、身構えてはいないです。シーズンと変わらず抑えたいなって感じです」
「目標はフル回転」…伴コーチが明かす平常心を貫ける理由
モイネロの早期降板という緊急事態にも落ち着いていた。「どの場面でもいくと事前に言われていたので。準備はしっかりしていました。自信を持って腕を振りました」。大舞台でも普段通りに腕を振れるのはなぜなのか。伴元裕メンタルパフォーマンスコーチは、入団直後のとあるエピソードを振り返りながら、その理由を語った。
「新入団会見の時ですね。今年の目標にみんなが新人王とかタイトルを書いたり、何試合出場するといった結果を書いている中、豪太は1人だけ『フル回転』と役割を書いていたんですよ。その時点で結構すごいなと思いましたね。自分が与えられた役割をどうやって全うしようという意識が強い。役割が明確な時ほどより燃えるからこそ、ピンチでもああいう投球ができるんだと思います」
その意識は入団直後から今も変わらない。だからこそ、窮地でも迷いなく腕を振ることができる。1年目で味わうポストシーズンの舞台。「(入団した時は)投げているとは思ってもみなかったです。でも任せていただいたらゼロで抑えて、チームの勝利に貢献できるように頑張りたいと思います」。
大一番を終えても、表情はリラックスしていた。「この後は水風呂とかサウナとかに入ったりして、また明日に備えたいなと思います」。気負わず、浮つかず、与えられた役割を全うする。23歳のルーキーが大舞台で見せた好投の裏には、そんなぶれない姿勢があった。どんな場面でも平常心を失わない。鈴木豪太の強さは、そこにある――。
(森大樹 / Daiki Mori)