4回終了直後に…山本祐大が懸念した「投げ急ぎ」
バッテリーの共同作業で掴んだ1勝だった。来日初登板初先発で5回5安打1失点と好投し、NPB初勝利を挙げたジャクソン・ラトリッジ投手と、マスクをかぶった山本祐大捕手。初めての経験ばかりの右腕を救ったのは、山本祐らしい「一言」だった。
12日のロッテ戦(みずほPayPayドーム)。先発マウンドに上がった右腕は初回、藤原に先制ソロを許したが、2回以降は復調。5回を68球で投げ切り、嬉しい初勝利を掴んだ。毎イニングが終わるたび、ベンチでコミュニケーションを交わしたバッテリー。初コンビを組んだとは思えない意思疎通ぶりだった。
4回を投げ終えた直後、山本祐がラトリッジに掛けた言葉は「ピッチクロックはないから、焦らずに時間を使っていこう」というものだった。「ラトリッジの情報を急いで集めたというより、しっかりと作っていこうと……」。バッテリーが明かした好投の舞台裏とは――。
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この先で分かる3つのこと
勝利目前の4回終了後、助っ人の焦りを防いだ山本祐の一言
データ不足の緊急事態で、細川コーチが唸った捕手リード
直球狙いをどう打ち破ったか? 助っ人が明かす配球の舞台裏
「5回を投げ切ったら勝ち投手の権利が付きますし、先発投手にとってすごく大事なイニングだと思ったので。4回が終わったところで話をしましたね」
7月30日にホークスと契約した助っ人右腕。当然、その身体には米国での“リズム”がしみ込んでいる。4回を終えて4点のリードがあったとはいえ、投げ急いで苦しい展開を招くわけにはいかない。山本祐は冷静に右腕の状態を分析し、布石を打っていた。
細川コーチも賞賛「難しかったと思いますよ」
来日後、2軍戦に3試合登板した右腕だが、今回の1軍先発は大津亮介投手のアクシデントによって急遽決まった。マスクをかぶった山本祐にとっても準備の期間は少なかったが、焦りはなかった。
「コミュニケーションを含めて、これからしっかりとした関係を作っていけばいいと思うので。グラウンド上で感じたことを大事にしながらやっていました」
選手としての特徴や球筋、そして人柄もほぼ知らない新外国人投手のリードは、捕手の“真価”が問われる。細川亨バッテリーコーチは「データはほぼ関係ないですね。とにかく全球種を使って、この日の良いボールをチョイスして……。結構、難しかったと思いますよ」と分析したうえで、バッテリーを賞賛した。
「イニングが終わるたびに毎回ラトリッジと話して。それしかできることはないので。初めてのマウンド、初めてのチームでラトリッジも緊張したと思いますけど、良い球は色々と出てきていたので。今日感じたことを次回にうまく繋げていけばいいんじゃないかなと思います」
ラトリッジも山本祐とのコンビに手ごたえをつかんでいた様子だった。「キャッチャーの山本としっかりと話すことができました。相手が真っすぐを狙ってきているだろうというのがあったので、変化球を多めと。コミュニケーションを取って、最後はまた真っすぐに戻るみたいな感じでできたので。それはすごく良かったと思います」。
想定外のアクシデントがありながらも勝ち切り、リーグ3連覇へのマジックは「7」となった。確実に迫りくる“歓喜”を前に、大きな1勝となったことは間違いない。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)