2安打3打点の活躍「僕は僕の生きる道を」
ただではアウトにならない好打者の凄みとは――。7日の西武戦(ベルーナドーム)。ソフトバンクの山本祐大捕手が2安打3打点の活躍を見せた。4回には高橋光成投手に追い込まれながらも、5球目のスライダーを左翼線に弾き返して先制打。2点リードの8回には中堅へ2点適時三塁打を放った。
だが、小久保裕紀監督があえて称えたのは、勝ち越しにつながった場面だった。同点の7回無死一塁でヒットエンドランのサインが出ると、何とかバットに当て、打球は三塁へのゴロとなった。野選でオールセーフとなったシーンを「ゴロを転がして、空振りも少ない。非常に存在感がありますね」と評価した。
DeNA時代の2024年には打率.291、5本塁打、37打点を記録し、ベストナインを獲得。トレードで加入した今季、約1か月半の怪我での離脱もありながら22試合に出場し、打率.319、2本塁打、17打点と「打てる捕手」の実力を発揮している。背番号「39」が明かした打者としての理想像と「生きる道」とは――。首脳陣の言葉から凄みに迫った。
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この先で分かる3つのこと
山本祐大が打席で追い求める「自分の生きる道」と理想像
ヒット以外でも評価される、首脳陣が絶賛した「打撃の質」
長谷川コーチが明かす、捕手ならではの「イメージ力」
「力(パワー)がすごくあるわけではないですし、ホークスの選手の皆さんみたいにすごいホームランを打てるわけじゃないんですけど、なんとか僕は僕の生きる道を探してきたので。その結果というとあれですけど、そんなところです」
自身のバッティングについて問われると、山本祐はこれまでの野球人生で追い求めてきた境地を率直に明かした。好投手の高橋に対しても、その打撃は変わらなかった。第2打席では外角低めへ決まるスライダーで追い込まれた。それでもボール球をしっかりと見極めてからの5球目。真ん中高めへ甘く入ったスライダーを左翼線に弾き返した。口にしたのは、打者としての理想の姿だった。
「僕的にはボール球を振らないバッターになりたいです。(相手投手が)良いピッチャーになればなるほど空振りをしてしまいますし。でも空振りするボールっていうのはやっぱりボール球が多いので。簡単に終わることがなくて良かったんじゃないかなと思います」
村松有人野手チーフコーチも、山本祐の打撃を評価する。「勝負強いですし。簡単にアウトにならないですし、しぶといですし。本当に頼もしいですね」。たとえアウトになったとしても、進塁打や犠牲フライなど、チームにとって意味のある打撃ができる。この日、指揮官が称えたエンドランもその一つだった。ヒットが出ない打席でも、チームのための「最高の最低限」が際立っている。
捕手ならではの視点と“イメージ力”
現役時代は「打撃一閃」を代名詞とし、通算1108安打を放った長谷川勇也打撃コーチ兼スキルコーチは、職人肌らしい言葉で山本祐の凄みを語った。
「“イメージ力”じゃないですか。この場面だったら、こういうアウトの取り方をしてくるんじゃないか。前の打席とのつながりで、このボールが増えてくるんじゃないか。じゃあ、そのボールに対して、どういうスイングをすれば当たる確率が高まるのか」
次に、相手バッテリーがどういう攻め方をしてくるのか――。キャッチャーとして守りでも好リードを見せる山本祐だからこそ持つ視点が、打席でも生きている。「話してみても、本当にいろいろと考えながらやっているみたいなので。任せています」。
チームのために最善の打撃を選択する力。そこには山本祐大という選手が高く評価される魅力が詰まっている――。
(森大樹 / Daiki Mori)