渡邉陸を「もう一回組ませたい」 山本祐大が復帰で捕手4人も…スタメン起用の裏にあった監督への「わがまま」

  • 記者:森大樹
    2026.07.25
  • 1軍
上茶谷大河とハイタッチする渡邉陸【写真:井上学】
上茶谷大河とハイタッチする渡邉陸【写真:井上学】

上茶谷と2試合連続バッテリー、マルチ安打を記録

 2週連続のスタメン起用の裏側には、1つの進言があった――。7-3で3連勝を飾った24日の西武戦(ベルーナドーム)、先発・上茶谷大河投手とバッテリーを組んだのは、前回登板に続いて渡邉陸捕手だった。打撃では3回にチーム初安打となる中前打を放つと、5回には中堅へ三塁打を放ち、マルチ安打を記録。攻守で存在感を示し、勝利に貢献した。

 渡邉にとっては実に8日ぶりの出場だった。前回出場は、上茶谷が1406日ぶりに先発勝利を挙げた16日の日本ハム戦(エスコンフィールド)でのスタメンマスク。強気なリードで5勝目をアシストすると、この日も2本塁打を浴びながら6回3失点と粘る投球を支えた。

 22日には故障離脱していた山本祐大捕手が1軍へ復帰。チームは捕手4人体制となり、出場機会はさらに限られる状況となった。実は、この2週連続のスタメン起用の裏側には、首脳陣の1人による「1つのわがまま」があった。海野隆司捕手でも、山本祐でもなく、渡邉と「もう一度組ませたい」――。この進言によって実現した起用だった。

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この先で分かる3つのこと

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「今はキャッチャー4人ですけど、陸はそんなに(マスクを)経験もしていない。あのエスコンでの言動、行動、プレースタイルを見たら、やっぱりもう一回組ませたいなと思ったので。自分が見た印象ですけどね。(小久保裕紀)監督にわがままを聞いてもらって任せました」

 起用の裏側を明かしたのは、細川亨バッテリーコーチだ。高く評価したのは、16日の日本ハム戦で見せた渡邉の姿。上茶谷を6回9奪三振2失点と巧みにリードし、自身も2安打をマーク。盗塁も阻止しただけではなく、1つ1つの細かいジェスチャーからは献身的な姿勢が伝わってきた。山本祐が復帰し、捕手事情が変わった中でも「もう一度組ませたい」という思いは揺るがなかった。

「倉野(信次)コーチからも『ピッチングコーチとして見ていても息が合っている』という意見もありました。上茶谷との息も合っているし、よく頑張っていたので。今日もバッティングでヒットが出ましたし、本当に良かったです」

三塁へ激走を見せる渡邉陸【写真:井上学】
三塁へ激走を見せる渡邉陸【写真:井上学】

思いが籠った三塁打「なんかチャンスメークしようと」

 細川コーチの期待に、渡邉は最高の形で応えてみせた。同点2ランを浴びた直後の5回、先頭で迎えた第2打席。センターへ鋭い打球を放つと、打球はスライスしながら中堅手の右を抜けた。ヘルメットを飛ばしながら懸命に走り抜き、プロ8年目で初の三塁打。何とか流れを引き寄せたいという思いが詰まった一打だった。

「もう追いつかれてしまったので、なんとかチャンスメークしようと思っていきました。昨日はベンチを外れて時間もあったので、トラジェクト(アーク)もしっかり打っていましたし、映像を見てイメージしていたので。1打席、1イニングにしっかり集中して臨めているのかなと思います」

 1軍は現在、捕手4人体制。競争はこれまで以上に激しさを増し、限られたチャンスであることも理解している。「もう自分のやれることは、結果を残すしかないというか。自分がやるだけという気持ちはずっと持っています。祐大さんが帰ってきても、やることは変わらないです」。

 前カードだった本拠地のオリックス戦でこの日のスタメンを告げられると、しっかりと準備を重ねてきた。「やるべきことをやるだけかなという感じです」。25歳は、ただ前だけを見据えている。自らの姿勢でつかんだチャンスで結果を残し、その存在価値を示した。渡邉陸は、自身の力で存在価値をさらに高めていく。

(森大樹 / Daiki Mori)