自然と挙がった「祐大」の名前
その一報はあまりにも悲しく響いた。6日、山本祐大捕手が左手有鈎骨の疲労骨折のため登録抹消となった。移籍して間もない中で、まさかの故障。交流戦首位を走るチームにおいて、確かな足跡を残し始めていた中での“急報”だった。プロ入り後、8年を過ごした横浜の地でプレーできないもどかしさは計り知れない。
ホークスに加わって3週間あまりとは思えないほどのプレーを見せてきた山本祐。その裏側には、わずかな時間で投手陣と築き上げた、濃密な「心の通い合い」があった。
3連勝を飾った中日との交流戦。チームが名古屋へと移動した1日の夜のことだった。山本祐はある場所へと足を運んでいた。そこはチームの未来を背負う投手陣との、初めてのプライベートな空間だった。グラウンドの外で交わされた、他愛もなく、そして熱い本音の応酬とは一体どんなものだったのか。
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この先で分かる3つのこと
・遠征先への移動日に津森投手が山本捕手を誘った真意
・食事の席で大いに盛り上がった話題
・津森投手が明かした山本捕手の素顔
「『祐大を誘おうか』みたいな。元々はスギ(杉山一樹)とご飯に行こうと話していて。祐大は初めてで、1回くらい飯に行って、どんな感じなのかなみたいな。野球以外でも普通に喋れたら、試合でもっとコミュニケーションも取れるだろうし。だから『1回行っておこうか』って。試合の時しか話していないので、野球以外のことも話したいなと思いました」
舞台裏を明かしたのは津森宥紀投手だ。遠征先への移動日、リラックスした時間の中で自然と「祐大」の名前が挙がったという。グラウンドでは見られない素顔を知りたいという投手陣の純粋な気持ちから、山本祐に声をかけたという。
4人で囲んだ焼肉…「想像通りのいい子」
先輩からの呼びかけに、ルーキーの鈴木豪太投手も同席した。「僕は杉山さんに呼んでもらったので。(山本祐とは)普段から話したりもしているんですけど。色々と喋れたので良かったです」と、新鮮な喜びを感じたという。
4人が向かったのは焼肉店。そこで交わされたのは、プライベートな話が主だった。津森は「家族の話だったり、普段お酒を飲むんだったら何を飲むのかといった話もしました」と語る。野球以外の話題で大いに盛り上がり、互いの人間性を知るための会話が弾んだ。マスクを外した素顔の山本祐の印象はどうだったのか。
「想像通りというか、本当にいい子(笑)。自分を持っているというか。気持ちが伝わるタイプなので。試合でバッテリーを組む時も、プライベートの時もあまり変わらないというか、ハッキリしている。(自分が)どういう人間なのかも知ってもらいたいし、そういう中でどういう配球をするとか、色々とあるので」
津森の飾らない言葉の端々に、投手陣が山本祐に対して抱く確かな信頼が感じられた。当の本人も「まだ深いところまでは話せていないですけど、そういう誘いをしてくれるのはありがたいですね」と優しい笑顔を見せていた。
山本祐の離脱は、チームにとっても間違いなく大きな痛手だ。だが、名古屋の夜に生まれた温かい空気をそのままに、背番号39の復帰を待つ投手陣がいる。焦ることなくグラウンドに帰ってきてほしい――。そんな思いを抱きながら、3人はマウンドで腕を振る。
(森大樹 / Daiki Mori), (飯田航平 / Kohei Iida)