登板当日に初めて呼んだ“祐大”…大関友久の正念場を救った山本祐大の気遣い「恥ずかしいですけど」

  • 記者:長濱幸治
    2026.05.30
  • 1軍
完封勝利を挙げ山本祐大と喜ぶ大関友久【写真:栗木一考】
完封勝利を挙げ山本祐大と喜ぶ大関友久【写真:栗木一考】

大関が自身4度目の完封劇「不安もあったけど」

 最後の打者を遊ゴロに仕留め、スコアボードに9個目の0を並べると、左腕はマウンド上で力強いガッツポーズを見せた。「本当に祐大がどんどんと引っ張ってくれて。しっかりとコミュニケーションを取った中で、バッテリーとしていい方向性で進んでいけたと思います」。自身4度目のシャットアウトで今季2勝目を挙げた大関友久投手は、穏やかな声でそう振り返った。

 29日の広島戦(みずほPayPayドーム)。およそ3週間ぶりとなる“復帰登板”は圧巻の投球だった。最速147キロを計測した直球と変化球を巧みに操り、許した安打は1本のみ。9回を112球で投げ切り、3月31日の楽天戦以来となる自身2カ月ぶりの白星を手にした。

 昨シーズンは自身初タイトルとなる最高勝率に輝いた左腕だが、今季は打ちこまれる場面が目立っていた。正念場となったこの日のマウンド、マスクをかぶったのは初めてバッテリーを組む山本祐大捕手だった。お立ち台で口にした「祐大」――。親しみを感じさせる呼び名は、マウンドに上がる直前に生まれたものだった。

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この先で分かる3つのこと

初コンビの壁を崩した山本祐大の「最初の言葉」
「正念場」で臨んだマウンド直前にあった「左腕の不安」
大関友久の快投を呼んだ試合前の「ほほえましいやり取り」

「祐大って呼ぶようになったのは今日ですね。1週間くらい前に挨拶は1度して、その時は『よろしくね』っていう感じだったんですけど。『山本君』とか呼ぶのもアレじゃないですか。祐大も『ゼキさん』と言ってくれたので。僕もなんか自然と名前で呼べるようになった感じですね」

試合中にベンチで意見を交換する山本祐大と大関友久【写真:栗木一考】
試合中にベンチで意見を交換する山本祐大と大関友久【写真:栗木一考】

27個目のアウトを奪い、交わした言葉「ナイス、ありがとうって」

 大関と山本祐は1学年違い。ホークスの仲間になるまでは面識もなかった。この日の試合前に初めて腰を据えて話した2人。山本祐の自然な距離の詰め方に、大関も安心感を得たという。「ナチュラルにコミュニケーションを取れた感じです。え、みんなも『祐大』って呼んでますよね? なんか恥ずかしいんですけど……」。左腕は多少の照れを見せつつ、笑みを浮かべた。

「マウンドに上がるまでは、やっぱり不安は結構ありました」。今季は上沢直之投手、リバン・モイネロ投手とともに“先発陣の柱”として期待され臨んだ28歳。だが、待っていたのはシビアな現実だった。この日の登板前まで1勝3敗、防御率5.73と不本意な投球が続き、再調整のため2軍降格も告げられていた。

 自らの“存在意義”を示すために臨んだマウンド。今季ここまで全試合でバッテリーを組んでいた海野隆司捕手ではなく、山本祐がマスクをかぶった。「自分の中で新しく投球を作り直した部分もあった」と語った大関を、1学年下の後輩が力強く引っ張ってくれた。快投の裏側には、試合前のほほえましいやり取りがあった。

 27個目のアウトを奪った直後、大関は山本祐を指さして笑みを浮かべた。2人はマウンド上で短く言葉を交わしつつ、お互いをたたえ合うかのようにグータッチを交わした。「『ナイス』『ありがとう』って。そんな感じでしたね」。新たに加わった仲間とともに手にした今季2つ目の白星は、今後のホークスにとって大きな価値のあるものになるはずだ。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)