減少する出場機会…海野が今思うこと
8-3で快勝した5月26日の巨人戦(東京ドーム)。実に自身1週間ぶりのスタメンマスクにも、海野隆司捕手は自らを貫き通した。試合に出られない悔しさ、そして首脳陣へのアピール……、脳内に渦巻くであろう様々な“邪念”を消し去り、投手陣を懸命にリード。チームを勝利に導くと、喜びよりもホッとした表情を浮かべた。
その3日前、23日にみずほPayPayドームで行われた日本ハム戦の試合前練習中には、ある光景が広がっていた。海野は山本祐大捕手と並んでアップをしながら、長時間にわたって会話を交わしていた。山本祐は松本晴投手と初めてバッテリーを組み、5回1失点で左腕を約1か月半ぶりとなる3勝目に導いた。
電撃トレードから約2週間。DeNAからホークスの一員となった山本祐は、加入後の12試合中8試合で先発マスクを被っている。一方の海野はその余波を受ける形で出場機会が減り、ベンチを温めることが増えた。「変えない。変わらないですよ」――。背番号「62」が胸に抱く思い、そして今の海野の姿を首脳陣はどう見ているのか。現状に迫った。
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この先で分かる3つのこと
激化する正捕手争いの今、海野が明かした本音と覚悟とは
細川コーチが絶賛する、海野のベンチ裏での“ある準備”
アップ中に海野と山本祐大が交わしていた会話の中身
「もちろん試合に出たいです。でも結果が全ての世界なので、とにかく自分も結果を出さないといけない。そうじゃないと生き残っていけないので。それはしょうがないと思っています」
競争が激しいプロ野球の世界、自らの立場を誰よりも理解していた。淡々とした口調、表情でこう続けた。自分自身のスタンスは絶対に「変えない。変わらないですよ。プロ野球選手として、自分もやってきたものがあるので」。言葉を選びながら、胸に秘める熱い思いを明かした。
山本祐が加入したことで、起用法には大きな変化が生まれた。ベンチを温めることになっても、海野の姿に首脳陣は信頼の目を凝らしている。「ベンチにいても試合に入っている。自分も出ている感が常にありますよね。だから準備が早い。すぐ裏で準備をして、交代してもすぐに試合に入れる」。そう明かしたのは、細川亨バッテリーコーチだ。
例えベンチスタートでも“試合”をしっかりと追い続けている。そのスタンスを評価していた。「初回からそういう気持ちで入っておかないと、流れがわからなかったりする。色々と考えながら、すごく勉強になっていると思いますよ」。海野の守備力が、チームを救う日は必ず来る。準備を怠らない姿は、首脳陣にとっても頼もしいはずだ。
アップ中に海野と山本祐が交わしていた会話
23日の試合前練習中に山本祐大捕手と交わした濃密なやり取りの内容についても、背番号62はこう明かす。「ピッチャーの特徴とか配球とか。普通に会話もしたりです。自分から話すこともありますし、聞かれることもあります」。
シーズン中の移籍となった山本祐。捕手としての苦労は、海野自身が最もわかっている。プロ野球選手として抱く個人的な感情と、ホークスの一員としてやるべきことは切り離す。海野自身もチームのためにできることを全うしていた。
自らの立場を理解しながらも、下を向くことはない。「できることをやるだけです」。準備を続けながら、来たる出番を待つ。2026年シーズンの“分岐点”となるかもしれない電撃トレード。正捕手争いは、まだまだこれからだ。
(森大樹 / Daiki Mori)