「隆太だけじゃなく、ここにいる全員に当てはまること」
大きな期待をしているからこそ、あえて厳しい言葉をかけた。12日に行われたファーム・リーグのオリックス戦(杉本商事バファローズスタジアム)。選手たちのアップが終わり、斉藤和巳2軍監督が呼び止めて話をしたのは、廣瀬隆太内野手だった。
今季3年目を迎えた廣瀬はオープン戦で打率.278、1本塁打と、限られたチャンスを生かして自身初の開幕1軍を掴み取った。しかし、出場は4月1日の楽天戦(楽天最強パーク宮城)で守備固めとして1イニングを守った1試合のみ。開幕から8日後の3日に登録抹消となった。
11日の同リーグ・オリックス戦(さとやくスタジアム)では1号2ランを放ったが、初回1死走者なしで二ゴロをファンブル。指揮官はそのプレーを見逃さなかった。チャンスを逃さないで欲しい――。そう思っているからこそ、意図をこめた声掛けだった。
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斉藤和巳監督が説く、昇格への“絶対条件”
2軍の姿でいるな。和巳監督が若鷹へ告げた「厳しい現実」
自ら送球を受ける指揮官。突き放す言葉に滲む「期待の証」
「一生懸命やっていても失敗はもちろんある。これはもちろん1軍選手もそうなので。ただ本当にそこに至るまでにどれだけ準備ができていたのか、隙はなかったのか。本当に1軍でやりたいのなら、ここ(2軍)にいる間から、そういう意識を持ってやっていかないと」
斉藤監督が指摘したのは、ミスに至るまでの過程だった。1軍での1試合、1打席という限られたチャンスを自らの力で掴み取るために――。2軍指揮官として、全ての選手に持っていてほしい意識だ。本塁打を放った試合だからこそ、尚更ワンプレーが気になったのだろう。
「(廣瀬)隆太だけじゃなく、ここにいる全員に当てはまること。2軍にいるからといって『2軍の野球』『2軍の姿』でいるようでは、この先、苦しい状況しか待っていない。やったからといって、すぐに結果に結びつくとは限らない厳しい世界だからこそね」
廣瀬自身も「やるしかないので」
どれだけ自分の中で1軍を思い描いてプレーすることができるか。「1軍の状況が良くても、(主力などの)急な怪我で出番が回ってくることもある。そういう時に声がかからないことだけは一番避けたいからね」。紛れもなく期待をかけているからこその言葉だった。日々、自分自身と向き合い、隙を減らしていくこと。改めてその重要性を伝えたかった。
声をかけた後の試合前練習。指揮官は二塁でノックを受け廣瀬の送球を、「隆太!」と大きな声をかけながら一塁で受けていた。25歳は「やるしかないので」と現状を受け止めている。「今は自分のレベルアップすること以外、考えてもしょうがないと思うので」。
まだ4月中旬と、シーズンは始まったばかり。2軍で牙を研ぎながら虎視眈々と1軍の舞台を狙い続ける。選手たちの背中を指揮官、コーチ陣も全力で押し続けている。
(森大樹 / Daiki Mori)