廣瀬&大野が語った不退転の覚悟 即決した武者修行…球団から伝えられた“明確な起用法”

廣瀬隆太(左)と大野稼頭央【写真:森大樹】
廣瀬隆太(左)と大野稼頭央【写真:森大樹】

廣瀬と大野が語るプエルトリコ派遣への思い

「球団から話をもらった時は、シンプルに行きたいなと思いました」。そう語ったのは、2年目の廣瀬隆太内野手だった。大野稼頭央投手と共にプエルトリコ・ウインターリーグに派遣されることが決まった24歳は笑みを浮かべた。

 大野が10月30日、廣瀬が11月4日にそれぞれ出国し、帰国はともに12月16日の予定。秋季教育リーグ「みやざきフェニックス・リーグ」を戦い終えたチームは、秋季練習を経てオフシーズンに入る。そんな中で2人が選んだのは、過去に松本晴投手や川村友斗外野手らも経験した海外での“武者修行”だった。

 派遣を打診された2人の有望株は、迷いなく参戦を決断した。語ったのは不安と前向きな感情が入り混じった、来季への“覚悟”だった。

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続きの内容は

・廣瀬が明かす、2年目の壁を破る「覚悟」
・大野が語る、先発転向への「高ぶり」
・海外武者修行で得られる、来季への「視線」

廣瀬が語った不安「色々な課題がある中…」

「実戦の機会がないと、自分がいい方向に行っているかわからないですし。そこの怖さや不安のようなものはありました。色々な課題がある中、マシーンで打ったりすることはできても、実戦がないと課題が課題のままなので。もちろん海外での生活経験もプラスになると思っています」

 廣瀬が漏らしたのは、実戦から離れることへの“不安”だった。フェニックス・リーグでも向き合った走攻守の課題を来春のキャンプにしっかりつなげるため、強い覚悟で海外挑戦に臨む。

 今季は1軍で30試合に出場し打率.224、1本塁打、7打点。7月22日に出場選手登録を抹消されて以降は1軍に昇格することができなかった。1年目から1軍の舞台を経験し「いけるかもしれない」と自身への期待も持って臨んだ中、“2年目の壁”にぶつかった。

「打つのも守るのも、課題は全部です。去年は無難にできたというか、良くも悪くも課題があまりなかったんです。今年は下手になったというより、見えていなかった悪い部分が出てきたので。もう全部潰していくしかない。技術もメンタルも強くしていかないと」

 フェニックス・リーグでは日本シリーズの40人枠入りを見据え、結果にこだわり「二塁」で試合に出続けたが、“今シーズン最後の目標”は叶わなかった。「もう来年を見据えるしかないので。来年は絶対にセカンドのレギュラーを取れるように」。山積みと語る課題を解決して、来シーズンに臨む。

先発転向の大野が語った「高ぶり」

 今季は中継ぎとして1年間を過ごし、1軍デビューも果たした大野。1軍で4試合に登板し、防御率0.00をマークするなど高いポテンシャルを示した。そして、2軍の全日程終了後にかねてから希望していた先発への転向を告げられ、フェニックス・リーグから本格的に先発登板を続けた。そんな中、球団から告げられたのがプエルトリコ派遣の打診だった。

「すぐに『行きます』と。考える時間も与えると言われましたが、次の日にはお願いしました」。派遣を打診された際に球団から伝えられたのは「先発として経験を積んでほしい」という明確な期待の言葉だった。

「先発の動きに慣れて、期待されている中で結果を残さないといけないので。でもこの期間にアピールできるのは、ウインターリーグに行く選手だけなので。1軍に入り込めるだけのものを見せていきたいです」

「まさに武者修行ですね」と語る表情には、覚悟と自信がみなぎっていた。初の海外となる奄美大島出身の21歳は、「(プエルトリコで)久しぶりに海に入れるかもしれないので、高ぶっています」と笑顔も見せた。その視線は、すでに来季の先発ローテーションを見据えていた。

 来年必ず1軍のレギュラーになるために――。若鷹が約1か月半の海外修行に臨む。2人に応援の言葉をかけると「頑張ります!」という力強い一言が返ってきた。成長した姿を見られることが今から楽しみだ。

(森大樹 / Daiki Mori)