10月21日に右肘手術…競技復帰まで4~5か月
プロ野球人生で幾度とは訪れない“栄誉”を掴むチャンスを前に、背番号19の葛藤は深まるばかりだった。下したのは「投げない」という決断――。今シーズン、リーグ2位タイの12勝を挙げた大津亮介投手が明かしたのは、小久保裕紀監督との知られざる“やり取り”だった。
日本シリーズが開幕する3日前、10月21日に大津は「右肘頭疲労骨折、ならびに骨棘障害にともなう右肘頭スクリュー固定術と右肘関節クリーニング術」を受けた。手術は無事に終了し、競技復帰まで4~5か月かかる見通しだ。
2027年シーズンの開幕に向け、リハビリを続けることになった右腕。シーズン最終登板となった9月27日のオリックス戦(みずほPayPayドーム)、降板直後に指揮官から掛けられた言葉は「来週、狙いにいくか?」――。大津が明かしたのは、当時の心境と来季以降に向けた強い覚悟だった。
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この先で分かる3つのこと
「狙いにいくか?」…指揮官の問いに大津が下した決断の真相
タイトル獲得のチャンスを捨ててまで右腕が優先した「人生観」
手術を越えて2027年へ…27歳が目指す「30歳まで」の確かな目標
「もちろん(次も)投げたかったですし、1年間頑張ってローテを守った中で、最後に最高の結果が出ればいいなとは思っていましたけど。チームの優勝も決まっていましたし、僕のコンディションとしても、どうやったらポストシーズンでベストパフォーマンスを出せるかという中での判断だったので……」
9月27日のオリックス戦、大津は5回を投げ終えてマウンドを降りた。この時点で5点のリードがあり、シーズン12勝目を手にすることは濃厚だった。ベンチで小久保裕紀監督から降板を告げられた右腕は、続けて問いかけられた。「来週、狙いにいくか?」。シーズン最終戦は10月5日の楽天戦(楽天モバイル最強パーク)で、中7日での登板が可能だった。
下した“投げない決断”…「今年の結果が全てじゃない」
「悩みましたね、だいぶ。『1週間しっかりケアをして、自分の体と相談してから決めたいです』と伝えました。でも、そんなに時間をかけずに投げないことは監督に伝えました。『ポストシーズンに向けてしっかり調整しよう』という話になりましたね」
あくまで自身のタイトルよりも、ポストシーズンでチームに貢献する道を選んだ右腕。結果的に登板することは叶わなかったが、自らの決断に後悔はない。大津が見据えていたのは、今後の人生だった。
「タイトルってなかなか取れるものではないですけど、それよりも『今年の結果が全てじゃない』というのが一番なので。今年だけいい結果で終わるんじゃ意味ないな、と。また来年、再来年と長く活躍できるように体と相談して。そこは決断しました」
もちろんタイトル獲得のチャンスは今シーズンだけではない。「狙うというよりも、1年間戦ったらついてくると思っているので。今年も開幕から『タイトルを取るぞ』という気持ちは正直なかったので。1年間チームに貢献する、1年間ローテを守り続ける。その結果がタイトルに繋がるかどうかだと思っているので。それは来年も変わらないですし、『絶対に1年間ローテで回り切る』という思いだけです」。
プロ4年目の今シーズン、自身初めて先発ローテを守り抜いた。「やっぱりキツさはありましたけど、体がしっかり覚えられたので。この経験が来年以降も生きるとは思っています」。悩み抜いて下した決断は、きっと2027年以降につながる。「30歳までに開幕投手を務める」という目標に向け、27歳の右腕は歩みを進める。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)