小久保監督が「佑京はようやく本当のレギュラーかな」
今季咲かせた大輪の花は、積み上げた歳月の証明でもある。確固たる地位を築き上げ、いくつものキャリアハイを更新。「ホークスのレギュラー」となった今もなお、周東佑京外野手が追い求めるのは「本物になりたい」という枯れることのない渇望だった。
今年も多くの新星が現れ、パ・リーグ3連覇を成し遂げた。レギュラーシーズンの終盤、小久保裕紀監督はこう語った。
「1年成績を残す選手なんていっぱいいる。ファンや、首脳陣の評価もそうですし、1年やったという選手は星の数ほどいるので。佑京がようやく本当のレギュラーかな。それ以外はまだまだ本当のレギュラーじゃないですよ」
2024年に初めて規定打席に到達した背番号23。翌年は惜しくも届かなかったが、430打席に立ち、110安打を放った。そして、今シーズン――。試合数や安打数でキャリアハイを更新。球界屈指の中堅の守備では何度もチームを救った。
一切の隙すら見せない小久保監督が口にした「レギュラーになった」という褒め言葉。3年間かけて見せてきた周東の成績を認めた瞬間だった。しかし、本人はこれをきっぱりと否定する。30歳のチームリーダーを突き動かしているのは「本物になりたい」という果てしない渇望。「レギュラー」という基準を踏まえて、自身の3年間をどのように振り返るのか――。
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この先で分かる3つのこと
周東佑京が語る「本物のレギュラー」に不可欠な条件とは
簡単には渡さない…周東佑京が「代走」の原点に抱く対抗心
5年契約のスタート…周東佑京が描くさらなる高みへの野望
周東佑京が口にした渇望「本物になりたい」
「そんな3年間ちゃんとできたかと言われたら……。やっとこの2年くらいだから、自分的にはまだまだです。成績や数字はそれなりに、という感じですけど、離脱することもありましたし。近藤(健介)さんみたいな完璧なレギュラーかと言われたら、そういう感じではないのかなと思いますけど」
現状に満足などしていない。その言葉は、周東の目標が遥か先にあることを意味している。
左膝の手術をはじめ、腓骨骨折に腰痛……。度重なる負傷が自身を襲い、時には痛々しい姿だとしてもグラウンドに立ち続けてきた。簡単に離脱しなかったのは、周東の“意地”そのもの。凄まじい執念を胸に秘め、誰よりも「レギュラー」という2文字にこだわってきた。
「本物になりたいですから。今年もそうですけど、連戦が続いていたら監督、コーチから『休むか?』みたいな……。自分でレギュラーになったというよりは、そうやって気を遣っていただきながら、ここまでこられている感じなので。そこはまだダメというか、ランクで言えばもっと上があるじゃないですか。数字的にもそうだし、首脳陣に気を遣わせることなく143試合、全部出ないと。本物の領域にはいけないのかなと思います」
自らの理想像を「本物」と表現した。周東の野望は、どこまでも渇くばかりだ。
原点の思い…足に対する自負と「もっと打たないと」
プロ入り当初から最大の武器である足が評価され、2年目の2019年には1軍で25盗塁を記録。3年目には50盗塁で自身初のタイトルを獲得した。一方で、胸に燃やし続けた思いは「絶対に代走では終わらない」――。ここに周東の原点がある。
「それは今も変わらないですね。今になったら『もっと打たないと試合に出られない』と思いますし、僕も30歳を過ぎて『走れる選手』というのはもっと若い子から出てこないといけないと思います。走れる選手が(1軍に)出てきた時、選ばれるのはより安定して打っている方だと思うので。気持ちは変わらず、打つ方のレベルをもっと上げていかないとダメだなと思ってやっていますね」
打撃面にフォーカスしてきたのは、レギュラーの座を勝ち取るため。そして、30代に突入してからも、若手にポジションを明け渡すことなくグラウンドに立ち続けるためだ。意地と執念で築き上げた今の地位。簡単に譲るつもりなど、一切ない。
今季はキャリアハイの127試合に出場。2024年、2025年に比べても「体調がよかった」と振り返る。レギュラーになるよりも遥かに前、数年先を見据えて続けてきた練習が今、実を結ぼうとしている。
「去年とかは膝も痛くて、どうしても重さも持てなくて抑えめにしないといけなかった。そういう意味では、今年はちゃんとできたので(体調がよかったのは)そこかなと。でも、トレーニングを始めたのも、もっと先を見て『こういう選手になりたい』という思いを描きながら、年々考え方も変えながらやってきたので。その結果として、この5年くらいのトレーニングが形となって出ているのかなと思います」
2026年からの5年契約を結び「ホークスのレギュラー」と呼ばれる存在になった。それでも、周東の思いは満たされていない。
「もっとやりたいことがありますし、求めたい数字もある。そこに対しては全然、今年の成績じゃ足りないです。上を目指し続けないと、僕は一気に衰退するタイプだと思うので、常に上のレベルを頭に入れながら、やらないとダメだと思いますね」
プロ野球選手として、高みを目指し続ける。周東佑京はこの先、ホークスのためにどんな姿を見せてくれるのだろうか。
(竹村岳 / Gaku Takemura)