「国際部部長」の松本裕一氏が語ったラトリッジの「ポテンシャル」
“70人目の男”が、1軍のマウンドでベールを脱いだ。新助っ人右腕、ジャクソン・ラトリッジ投手が12日のロッテ戦(みずほPayPayドーム)で来日初先発。5回1失点と好投し、NPB初勝利を挙げた。補強期限ギリギリの7月30日に獲得した203センチの右腕。複数人の獲得候補がいた中で、球団が見込んだ「姿」とは――。
大津亮介投手がコンディション不良で登録抹消となったことで、巡ってきた先発のチャンス。初回に本塁打で先制を許したものの、2回以降は立ち直り、4イニング連続でスコアボードにゼロを刻んでみせた。小久保裕紀監督も「グッジョブということで。十分。大津が急遽投げられなくなったので、それをしっかり埋めてくれましたね」と評価。降板後には親指を立てるグッドポーズを送り、初先発を終えた右腕を称えた。
背番号「14」は2019年MLBドラフト1巡目(全体17位)でナショナルズから指名された有望株。昨季はメジャーで中継ぎとして63試合に登板した一方、今季はわずか1試合の登板にとどまっていた。ホークスはどのようにして右腕を見つけ出し、獲得へとこぎ着けたのか――。その背景には、球団が「最高のポテンシャル」と評する能力があった。
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この先で分かる3つのこと
新助っ人ラトリッジ獲得を決めた「意外な決め手」
補強期限直前まで球団が貫いた「スカウトの方針」
元MLBドラ1右腕がホークス移籍を決意した「理由」
「やっぱり日本野球をリスペクトする人間性を含めてです。日本のいい部分を学ぼうとしてくれている。来日前から球持ちの良さとか、そういうものに取り組んでくれていたので。クイックなアジャストができるんじゃないかなと思いました。彼の持っている最高のポテンシャルが、この球団でより磨きがかかれば、やっぱりすごい能力を持っている。面白いかなと」
松本裕一・球団統括本部編成育成本部国際部部長は、ラトリッジ獲得の決め手をそう明かした。昨季はメジャーで高い能力を示していた一方で、今季はわずか1試合の登板にとどまり、なかなか居場所をつかめずにいた。「そんな中で本人が先発として自分のキャリアを築きたいと本気で思っていたので」。右腕が抱いていた強い思いがあった。
ラトリッジ自身も、かつての同僚で元巨人のフォスター・グリフィン投手の名前を挙げながら、日本行きを決断した理由を語った。「日本に来て、すごく良くなったという投手も多いので。向こうではリリーフがメインだった中で、ホークスが先発としてやってほしいと言ってくれた。自分のキャリアのためにもすごく良い機会だと思った」。自身の思いとホークスが求めているものが重なった。
最後まで調査「一番良い選手を囲おう」
7月27日、ホークスは小林樹斗投手ら3選手に2桁背番号を与えた。支配下選手は「69」となり、残された枠はわずか1つ。“最後の1人”として獲得したのが、ラトリッジだった。球団は、どんな条件を持った選手を70人目として探していたのか。調査を続ける中で、松本部長には明確な方針があった。
「先発陣の強化が補強ポイントであることは確かでした。メジャーリーグもピッチャー不足ですし、そのタイミングによって取れる選手、取れない選手が変わってくる。他にも候補がたくさんいた中で、最後の最後まで諦めずに、一番良い選手を獲得しようという考えで調査を続けていました」
補強期限が迫る中でも、焦って決めるつもりはなかった。先発投手という明確な補強ポイントを見据えながら、最後の最後まで市場を見続けた。「たくさんの候補者がいて、このタイミングで獲得できる選手の中で、最終的には彼が一番いいだろうと。元ドラ1ですし、向こうの球団もやっぱりポテンシャルを評価しているわけで。全てのタイミングが合ったんですよね」。
日本で目指すのは、先発としての新たなキャリア。来日初先発を終えたラトリッジは、充実した表情で口にした。「もう本当に、最初としてはすごい好スタートだったと思うので。こういう投球をどんどん続けていけるように頑張ります」。覚悟を持って移った日本の地で、そのポテンシャルを開花させる。
(森大樹 / Daiki Mori)