先発の前田悠伍が招いたピンチで見事な投球を披露
ルーキー右腕が挙げた“2勝目の価値”を誰よりも称えた男がいる。決して簡単ではない回跨ぎも、「調子もよかったので、2イニング目もいける、という自信はありました」。爽やかな汗を拭いながら話したのは、ルーキーの鈴木豪太投手だ。
4日にみずほPayPayドームで行われた2位・西武との一戦。1点リードで迎えた4回1死一、二塁のピンチで先発の前田悠伍投手が降板し、マウンドへ向かったのはルーキーの鈴木豪だった。頼もしい足取りで登板した背番号26は、カナリオを三振、続く滝澤を二ゴロに仕留め、見事に西武打線の火を消してみせた。
鈴木豪は5回もマウンドに上がり、三者凡退に打ち取る好投を披露。試合の流れを手繰り寄せ、大事な3連戦の初戦でチームを勝利へと導いた。しかし、この勝ち星を掴み取ることは、言葉にするほど簡単なことではなかった。「ああいう時、“その次のイニング”って意外と難しいんですよ」と、語るのはバッテリーを組んだ山本祐大捕手だ。鈴木豪の投球は、かつての“苦い記憶”と重なり合うことはなかった――。
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この先で分かる3つのこと
山本祐がイニング跨ぎのベンチでルーキーに伝えた秘策とは
山本祐が「簡単じゃない」と絶賛した回跨ぎの真の難しさ
先発の前田悠を救った鈴木豪太がマウンド上で胸に秘めた思い
山本祐大が賛辞を送った理由
「気持ちが入っているところで行って、次の回にまたその気持ちのまま行くっていうのは難しくて。結構やられるイメージもあるんですけど、何も変わらずに自分のピッチングを貫いてくれたので。それができるというのは、ルーキーですけど、すごく良いピッチャーだと思います」
背番号39は、興奮混じりにそう熱弁した。ピンチの場面での火消し。それも相手が2位・西武という緊張感が一層高まるシチュエーションだ。4回の場面をしのいだことで昂った感情が一度リセットされ、再びまっさらな気持ちで次の回に挑む。それは経験豊富な投手にとっても難しいことだ。「当たり前のように、簡単に見えるんですけど。簡単なことじゃない」と山本祐。何事もなかったかのように続く5回も三者凡退に抑えてみせた右腕を、心から絶賛した。
4回を終えてベンチへ戻った際、2人が顔を近づけ、真剣な眼差しで言葉を交わす姿があった。「(5回が)上位打線からだったので。ある程度バッターのイメージと、1打席目や2打席目を見て『こういう感じで来ているよ』というのを自分なりに伝えました」。その結果、鈴木豪は見事なイニング跨ぎを完遂してみせた。
「僕が投げて3連覇に1つでも近づけるよう」
「1点もあげる気はなかったです。悠伍に負けをつけられないな、という思いもありました。 同点に追いつかれるのと、勝った状態で次のピッチャーに渡すのでは全然違うと思ったので。0点で抑えられたことは、すごく良かったなと思います」
試合後、鈴木豪はそう明かした。今季はここまで33試合に登板して防御率1.79。前半戦では任されることのなかった“シビアな場面″での登板を自らの力で掴み取っている。「今こうやって大事な試合で投げさせてもらえている。そこは本当に自分の自信になります」。そう語る言葉には力強さが宿る。
「1年目から優勝争いをみんな経験できるわけじゃないですし、そこで投げられているのはすごく嬉しいです。僕が投げて3連覇に少しでも近づけるようなピッチングを、毎回心がけてやっています」
結果的に8-2と大差で勝利したが、それも鈴木豪の好投があってこそだ。「今日ヒーローになったのは多分そういうところもあるので。豪太がナイスピッチングをしてくれたので助かりました」と、山本祐は笑顔で賛辞を送った。ルーキーながらも、マウンドでは甘えを一切捨て去り、チームの悲願であるリーグ3連覇だけを見据える右腕。プロ2勝目は、チームにとってとてつもなく大きな価値がある。
(飯田航平 / Kohei Iida)