中村晃へ指揮官の感謝「俺はただそれだけ」
「晃の姿を忘れないでほしい」
中村晃内野手が22日、2か月半ぶりに出場選手登録された。20日に行われたファーム・リーグのオリックス戦(ほっともっとフィールド神戸)が、2軍で過ごす“最後の日”となった。ファームでの日々を共にした斉藤和巳2軍監督が明かした、背番号「7」への感謝。若鷹たちの胸に刻み込んでほしい“背中”があったーー。
今季は6月9日に1軍登録を抹消され、翌10日から2軍に合流。同28日のオイシックス戦(タマスタ筑後)では、9回に逆転サヨナラ満塁本塁打を放つなど、変わらぬ勝負強さを見せた。7月3日には今季限りで現役を引退することを発表。それでも、もう一度チームの力になるために2軍戦に出場し続けた。
2014年に最多安打のタイトルに輝くなど、通算1520安打を積み重ねてきた19年目のベテラン。グラウンドでは若鷹たちと一緒に汗を流し、練習前から黙々と準備を続けた。指揮官の目には、この約2か月半の日々はどのように映っていたのか――。口にしたのは、中村晃が2軍に残した「財産」だった。
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この先で分かる3つのこと
中村晃が2軍で残した、若鷹の未来を変える「最大の財産」
後輩との食事や対話を通して中村晃が授けた「教え」
斉藤2軍監督が若手へあえて投げかけた「厳しい本音」
「感慨深い日々を過ごさせてもらったなと。入団当時から知っている選手なので。ちょっとした個人的な思い出話もしてみたりとか。いろんな後輩たちに声をかけてくれたり、質問されたことに丁寧に答えてくれたり。遠征先で後輩を食事に連れていって、いろんな話をしてくれたりとかね。ああいう存在がしっかり準備をして、あの姿を見せてくれる。もう本当に毎日がその連続。全てにおいて本当にありがたい存在ですよね」
若鷹から背番号「7」にアドバイスを求める。時には逆に、若手へ言葉を送る。そんな瞬間が何度もあった。2軍で選手を取材していると、決まって返ってくる言葉があった。「晃さんと食事に行かせてもらったんです」。指揮官が「忘れないでほしい」と語るのは、そんな一つ一つの行動だった。
「今年が最後というのも、もちろんあるかもしれないけど。何か自分にできることがあればというのを、いろんな角度で彼は考えて行動してくれたので。これはすごく選手たちにとってはいい財産になるしね。財産にしてほしいし、晃の一言一言を忘れずにね。俺はただ、それだけ」
あえて口にした言葉「周りの若手がどう感じているか」
中村晃は引退会見で、若鷹たちについてこんな言葉を残していた。「若い選手たちを見てて思うのは、能力はすごくあると思いますし、これからが楽しみな選手がたくさんいるのでいいんですけど。まだまだ、ちょっと幼いなという部分がある。幼さっていうのはどんどん無くして、人間として立派になることが大事。そこが一番感じるところですかね」。伝えたい思いを、言葉だけではなく背中で示し続けた。
スタメン出場した2軍戦では、たとえ途中交代しても、ベンチに残って試合終了まで最前列で声を出した。2軍にいる間、主力選手の参加が免除されている試合前のミーティングにも欠かさず参加。そして練習前の集合より早くグラウンドに姿を見せ、誰よりも率先して準備を始める。その姿を見てきた指揮官は、若手にあえて厳しい言葉を投げかける。
「じゃあ誰が(中村晃の)真似ができているかといえば、やっぱりそういうふうには見受けられないというのが残念。それに対してこちらが言おうと思えば、いくらでも言えるけど。言われて動くんじゃなくて、気付いて動く方が本人にとってはいいので。すべての答えを出して、言われること待ちみたいな選手では、やっぱり過酷な世界ではやっていけない。気付いた者勝ちなので」
何度も口にしたのは、「周りの若手がどう感じているか」だった。「プロの世界はもう、どうやって生き残っていくかを自分で考えてやっていくのが一番なので。財産にしてほしいし、晃の一言一言を忘れずに。晃の姿を忘れずにやってもらいたいな」。
背番号「7」が残したものは、これからも若鷹たちの中に残り続けるはずだ。この2か月半は間違いなく財産になったに違いないーー。その背中を見て、どう行動して成長していくのか。それを一番楽しみにしているのは、中村晃自身なのかもしれない。
(森大樹 / Daiki Mori)