移籍1年目のシーズン、大きな刺激を受けた右腕の存在
突然の抹消にもすぐに前を向いた。昨オフ、ロッテから現役ドラフトでホークスへ加入し、移籍1年目のシーズンを送っている中村稔弥投手。現在、2軍で調整を行う左腕にとって、大きな刺激となっている同学年右腕の存在がある。「自分も勝ち取りたい」。胸の中にある本音を明かしたーー。
中村稔は今シーズン、開幕こそ2軍スタートとなったが、1軍でのロングリリーフ起用に備えてファームで先発登板を経験。結果を残して、6月7日に1軍昇格を勝ち取った。1軍では主にビハインド場面でのリリーフとして7試合で防御率2.70という成績を残した。
だが7月21日の試合を最後に登板から遠ざかると、17日後の8月7日に登録抹消となった。首脳陣から告げられた抹消の理由とはーー。そして左腕が今、抱いてるのは、8年目で芽生えた新たな目標。福岡で出会ったチームメートと、初めての“歓喜”を味わいたい。
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この先で分かる3つのこと
首脳陣から告げられた、登録抹消の「明確な理由」
1軍再昇格を熱望する背景にある「8年目の悲願」
同学年右腕の姿に刺激を受けて芽生えた「本音」
「かなり登板間隔が空いていたので。『1度、2軍で投げてきてほしい。別に調子自体は悪いと思ってないから』みたいな感じでは言われましたね」
7月21日のオリックス戦(みずほPayPayドーム)でも1イニングを無失点に抑えて、4試合連続無失点を記録するも、その後10試合にわたって登板機会がなかった。その間、チームは8勝2敗と圧倒的な力を見せ、8月5日には今季初めて優勝マジックが点灯。悔しい抹消を受け入れながら、1軍での日々を大きな刺激に変えていた。
「やっぱりホークスは本当に強いので。勝負の一球へのこだわり、相手がミスをしたらきっちりとそこで勝ちにいく。そういう部分は1軍で見ていてもすごく感じました。(抹消は)仕方ない部分がありますけど、チームの中で自分の役割がちゃんとあると思うので。もう1度、しっかりと抑えて上がりたいです」
再昇格を強く願うのには、特別な理由がある。「優勝の瞬間に1軍にいたいなという気持ちは強いです。自分自身、まだ味わったことがないので」。2018年のドラフト会議でロッテから5位指名を受けて飛び込んだプロの世界。現在、チームの優勝マジックが点灯する中、8年目で初めての歓喜の瞬間を味わいたい。「もちろんもっと貢献したいんですけどね……」と悔しさもにじませながら、口にした思いは力強かった。
同学年・上茶谷大河の存在と先発への思い
新天地での1年間で、中村稔に大きな刺激を与え続けている存在がいる。それが同学年の上茶谷大河投手だ。右腕はリリーフとして開幕1軍入りを果たすと、少しずつ自分のポジションを築き上げ、7月16日の日本ハム戦(エスコンフィールド)で移籍後初先発を経験。開幕7連勝を挙げるなど、掴み取ったポジションで結果を残してきた。東都リーグでしのぎを削った大学時代には、3日連続で投げ合ったこともある2人。同じ「現役ドラフト」で加入した右腕の影響は、大きかった。
「かみちゃを見ていたら、やっぱりかっこいいじゃないですか。本当に勝ち取っている。今年一緒にいることが多かったですし、たくさん話もするので。今年になってずっとトレーニングとかウエートをしている姿を見てきて、刺激にもなりました。だから自分も結果を残し続けて、勝ち取りたいです」
また2軍で先発機会が増えたことで、新たな目標が芽生えたという。「いずれは先発したいなと思いますよ」。6月24日のオリックス戦(みずほPayPayドーム)では、徐若熙投手の登板回避に伴う緊急登板として、5年ぶりとなる先発マウンドに上がった。移籍して1年目のシーズン。新しい環境が、左腕の中に様々な感情を抱かせている。
「争いが激しいですけど、結果を出し続けないと試合にも出られないので。しっかり自分のやるべきことをやっていきます」。2軍合流後は3試合で8回1/3を投げて、1失点と結果も残している。もう一度、1軍の舞台へ――。歓喜の瞬間を味わってみせる。
(森大樹 / Daiki Mori)