4日の楽天戦では2安打1打点3盗塁の活躍
4年目を迎えた21歳は、もがき苦しんでいる。「もう下手なんで。頑張ります」。自身初の開幕1軍入りを果たしながら、わずか8試合の出場のみでファームへ。春先とは全く違う打撃フォームからも、試行錯誤の跡がうかがえる。イヒネ・イツア内野手は今、どのような立ち位置にいるのか――。
8月4日のファーム・リーグ交流戦の楽天戦(楽天モバイル最強パーク)。3回に前田健太投手から中前打を放つと、次打者の初球ですかさずスチールに成功。7回には同点の犠飛を中堅に運ぶと、9回は持ち味の俊足を生かした一塁内野安打でマルチ安打をマーク。その後二盗、三盗を決めるなど、この日2安打1打点3盗塁の活躍を見せた。
試合後、イヒネは表情を崩すことなく言葉を口にした。「たまたまっす。それ以上でも、それ以下でもないです」。6月には右ひじを痛め、1か月ほどのリハビリを余儀なくされた。2軍戦ではここまで38試合に出場して、打率.186、9打点、13盗塁と決して満足のいく成績を残せずにいる。誰もが認めるポテンシャルを秘めながらも、もどかしい日々を送る21歳。球団が現状をどうとらえているのか、迫った。
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この先で分かる3つのこと
イヒネが試合開始8時間前から貫く「ある姿」
恩師が明かす、イヒネの本心を紐解く対話術
「誰が見てもイヒネだねと」…球団が描く将来像
「いつきっかけが来るかな、と。よく練習はしているので、ゲームの中で『なんかこれかも』という気付きを得てくれれば。自分のプランだったり、今試すことだったりはしっかりと考えながらやっているので。そこだけですかね」
そう語ったのは、イヒネを入団時から見守ってきた荒金久雄コーディネーター(野手統括)だ。 「まずは打撃。もうちょっと数字を上げていかないと。あとは、いい凡打が増えてくるかどうか。『今のは惜しかったね、紙一重だね』という打球が出てこないとですね」。その目は息子を見守る父親のように温かい。
首脳陣が指摘する精神面「本心と違うことを…」
春季キャンプからA組入りし、外野にも挑戦するなど、飛躍を期待された2026年シーズン。だが、現実は甘くなかった。1軍では出場8試合、わずか2打席に立っただけで、4月27日に出場選手登録を抹消された。斉藤和巳2軍監督は「彼の場合はちょっと気持ち的な浮き沈みがあったりもするので。それがあるうちは、なかなか結果が安定するということは難しいと思う」と指摘した。
精神的な成熟――。荒金コーディネーターはこう分析する。「ちょっと照れくさいのもあって、色々と本心とは違うことを言ったりすることはあるんですけど。まだ21歳ですし、普通っちゃ普通ですよね」。そう認めたうえで、イヒネの姿勢をこう明かす。
「ナイターの時でも、(午前)9時半とか10時くらいから1人で打っていますから。やることはやっぱりやるし、物事をよく考えているので。今年は試行錯誤していますけど、真摯に向き合ってはいます。その姿勢がある限り、何かを掴んでくれたら一気にいくんじゃないかなと思っています」
荒金コーディネーターはイヒネにこう訪ねたことがあるという。「イライラするから打てないのか、打てないからイライラするのか。どっちだって聞いたら、『打てないからです』と。それなら本質の問題から逃げちゃダメだよねと。そういう話は結構していますね。もう4年目だし、しっかりとした実績や数字を残さないと。誰が見ても『次のショートはイヒネだな』となってもらわないと、困りますよね」。
開幕1軍入りから故障、そしてなかなか結果が出ない日々――。まるでジェットコースターのような1年を過ごす21歳だが、胸に秘めた闘志は消えてはいない。今シーズンも残り2か月余り。イヒネはどういう姿を見せていくのか。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)