️石見が「右膝蓋腱部分摘出術」を受けた
今シーズン最後の試合になることは決まっていた――。石見颯真内野手が4日、佐賀市内の病院で「右膝蓋腱部分摘出術」を受けたと発表された。7月16日のファーム・リーグ阪神戦(丸亀)を終え、18日からリハビリ組に合流していた20歳。今後は治療に専念し、来季に向けて歩みを進めることになる。ホークスの未来を担う若きホープが、決断までの舞台裏を明かした。
石見は今季、ファーム・リーグで65試合に出場し、打率.244、2本塁打、13打点をマーク。斉藤和巳2軍監督からは「悪くても使うから」と期待をかけられ、実戦を重ねながら試行錯誤を続けた3か月半だった。「本当に今年は2軍で1つタイトルを獲りたいと思ってやっていたので、ちょっと(離脱が)早かったな……と思います」と悔しい胸の内を明かす。
高卒2年目の今季、このまま試合に出続けていれば初となる1軍昇格のチャンスもあったかもしれない。「1か月くらいずっと迷っていました」。20歳が抱えた離脱への葛藤と本音。決断の背中を押した斉藤監督ら首脳陣の言葉とは――。そして2軍を離れる直前、今季限りでの現役引退を表明している中村晃内野手と語った夜の記憶を明かした。
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この先で分かる3つのこと
斉藤2軍監督が石見に放った「生き残るための金言」とは
深夜まで及んだ金子コーチとの3時間にわたる対話の裏側
中村晃が2軍ベンチで見せ続ける「野球人の在り方」とは
「調子が良い時はあまり痛くないんですけど、痛い時はもう何をしても痛くて。階段も上がれないし、降りられない時もあるくらいなので。今は薬を飲みながら野球をやれていますけど、『10年後も野球をやれるのか』と考えた時に、完全に治した方がいいんじゃないかという話になって。『もう今年(治療を)やります』と決断しました」
昨年も右膝痛で10月以降はリハビリ組に合流し、今季の開幕直前に実戦復帰していた。「あの時も完全に治っていたわけではなくて。でも『できるだろう』という判断でやっていたんですけど、やっぱり試合数を重ねていくうちに……という感じです。『自分的には全然プレーできます』とは言っていたんですけど、今無理にプレーしても何もプラスにならないので」。それでも、2軍を離れる決断には大きな迷いがあった。
「金子(圭輔2軍内野守備走塁)コーチにも相談しながら、1か月くらいずっと考えていました。(膝の痛みの)波が大きかったんですけど、ある時からその周期がどんどん短くなってきて。(今年の)オフになってから治療を決断したら、来年の春季キャンプにも間に合わないので」。2軍のナイターゲーム終わりに、金子コーチと日が変わる直前まで約3時間にも及ぶ話し合いをしたこともあった。さらに斉藤2軍監督に「悩んでいます」と正直な思いを打ち明けた際には、言葉をかけてもらった。
「もし今、1軍に行って膝が痛くなったら、お前の1番のプレーができないまま1軍でやることになるんだぞ。ベストコンディションで臨めないまま行っても、それじゃ生き残れないだろ。それなら膝を万全にして、ベストな状態にするのが良いんじゃないか」
指揮官のこの言葉に「確かにそうだな」と納得し、6月末には離脱を決断した。そして7月16日の阪神戦(丸亀)を“今シーズン最後の試合”にすることを決めた。
中村晃と語った夜「絶対治しておいた方がいい」
憧れの先輩と一緒にプレーができる“ラストゲーム”は唐突に訪れた。14日からの阪神2軍とのビジター3連戦に中村晃は帯同せず、タマスタ筑後で調整。「全然知らなかったので。金子コーチに『そういえばお前、この前の試合が晃と一緒にできるの最後だったわ』って言われて。『ええ、言ってくださいよ……』ってなりました」。それでも、10日からの広島3連戦(由宇)の夜には、中村晃から食事に誘われていた。
「僕の膝のことも知ってくださっていたので、そういう話もしました。晃さんも若い頃に膝を怪我した経験があって、『もう今のうちに絶対治しておいた方がいい』って言ってもらえて。その時も野球の話をたくさん聞くことができました」。昨年のリハビリ期間中、タマスタ筑後で声をかけてもらったことをきっかけに始まった2人の交流。「教わった一番のことは?」と尋ねると、「技術もそうですけど、一番は野球人としての在り方です」と答えた。
「36歳になって、2軍戦で途中交代したら先に帰ってもいいはずなんですよ。それでもベンチに残って声を出している。フライを打っても絶対に全力疾走する。話をした時も『手本にならないといけない立場だからやっている』と言っていました。そういう姿勢があるからこそ、周りから信頼されるんだなと本当に思いました」
6月10日に20歳になったばかりの高卒2年目。悔しさを噛み締めながらも、“未来の自分”にとって最善の選択をした。まずは怪我の完治に専念する。石見が何度も口にしたのは「1軍でプレーするための決断」という言葉だ。1軍の舞台で「石見颯真」の名前がコールされる瞬間を心待ちにしたい。
(森大樹 / Daiki Mori)