木村光が1軍再昇格、右腕の胸に響いた言葉
胸に秘めているのは、指揮官から伝えられた言葉だった――。木村光投手が21日のオリックス戦(みずほPayPayドーム)で1点ビハインドの7回から登板し、2奪三振を奪って1イニングを無失点。6月20日の日本ハム戦(エスコンフィールド)以来となる1軍のマウンドで、新たな一歩を踏み出した。
4年目の今季は開幕からリリーフ陣の柱として28試合に登板し、3勝0敗10ホールド、防御率2.05をマーク。開幕から9試合連続無失点を続けるなど、序盤はブルペンを支えた。しかし、6月に入ると失点が続き、小久保裕紀監督から「春先のボールを投げられるようにしてきてほしい」と告げられ、6月22日に出場選手登録を抹消された。
2軍での日々を経て、29日ぶりに1軍へ戻ってきた右腕の表情は、以前よりもどこか引き締まって見えた。その理由は明確だった。ファーム・リーグでは7試合連続無失点と結果を残した。だが、それ以上に心に刻まれているのが、降格直後に斉藤和巳2軍監督からはっきりと伝えられた「厳しい言葉」だった。
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この先で分かる3つのこと
「まだ1軍じゃない」斉藤2軍監督が言葉に込めた真意
特別扱いはゼロ…木村光が筑後で再確認した泥臭い原点
指揮官の言葉を胸に、木村光がマウンドで果たすべき誓い
「和巳監督に2軍に落ちてきた時、筑後で挨拶をして。『1軍で今年、いっぱい投げているけど、別にまだ1軍の選手じゃないからな。しっかり2軍の選手として扱うから、ちゃんと練習して』と伝えてもらいました。もう一度1軍に上がる時にも同じように『しっかりやれよ』と言葉をかけてもらったので」
筑後では特別扱いは一切なかった。「早く調子を戻さないとって。落ちるべくして落ちるパフォーマンスだったので」。再調整ではなく、2軍降格――。だからこそコーチ陣と課題に向き合い、もう一度足元から自分を見つめ直した。
「筑後で1年目からずっとやってきたので、その時の気持ちは忘れず、本当に泥臭くやっていかないといけない。自分がマウンドに立っている間にやるべきことは変わらない、と改めて思いました。しっかり自分自身を振り返る時間になりました」
「まだ1軍の選手じゃない」斉藤2軍監督の言葉の真意
「まだ1軍の選手じゃない」――。斉藤2軍監督があえて突き付けた言葉には、右腕への期待が込められていた。現役時代に通算勝率.775を誇り「負けないエース」と呼ばれ、2度の沢村賞を受賞した指揮官だからこそ、この世界の厳しさを誰よりも知っている。
「まだ2か月くらい頑張っただけで、結果も何にも残してないんだから。もう一度しっかりやらないと、この世界では生き残っていけない。せっかく期待されているのにもったいない。それぐらいで慢心してるようじゃ、足元をすくわれるよ、この世界」
プロ4年間で1軍の46試合に登板し、3勝0敗11ホールド1セーブ、防御率1.62を記録。今季も開幕からブルペンに欠かせない存在となった。それでも、シーズンを通して1軍で戦う立場としては、まだ実質1年目。このタイミングだからこそ、自分を見つめ直してほしい――。そんな思いを込めて、あえて厳しい言葉をかけた。
「彼にとって今、ここからが一番大事なので。あれくらいの立場の選手は下から代わりがいくらでも出てくる。まだ自分の居場所を確立したわけではないんだから『これくらいで慢心しているようじゃダメだよ』っていう俺からのメッセージです」
その言葉は、右腕の胸に確かに届いている。「初心を忘れずに『やるだけや』という気持ちです。マウンドでは全力で腕を振って、どんな形でもいいのでゼロで抑えます」。残りのシーズンを1軍で投げ抜き、新たな木村光の姿を示していく。ここからが本当の勝負だ。
(森大樹 / Daiki Mori)