小久保ホークス初の“救援6人体制” 首脳陣が明かす勝負手の舞台裏…津森宥紀はニヤリ「変な雰囲気あった」

  • 記者:長濱幸治
    2026.07.21
  • 1軍
小久保裕紀監督からボールを受け取るダーウィンゾン・ヘルナンデス(左)【写真:栗木一考】
小久保裕紀監督からボールを受け取るダーウィンゾン・ヘルナンデス(左)【写真:栗木一考】

2024年以降では初「選手たちに感謝」

 小久保ホークス初の“勝負手”が決まった。20日のロッテ戦(ZOZOマリン)。試合開始前からブルペン陣に「異変」が起きていた。守護神の杉山一樹投手、そしてセットアッパーの松本裕樹投手が“上がり”でベンチ外となった。この日のベンチメンバーは先発の大関友久投手を除くと、わずかに6人。2024年から指揮を執る小久保裕紀監督の元では初の事態だった。

 まさに総力戦だった。先発の大関友久投手が5回1/3で降板すると、2番手のダーウィンゾン・ヘルナンデス投手以降、鈴木豪太投手、ロベルト・オスナ投手、津森宥紀投手がバトンをつないだ。オスナが1点を失ったものの、1点差のゲームを勝ち切った。この試合、登板機会がなかったのは中村稔弥投手と岩井俊介投手のみ。仮に延長戦に突入していれば、最大3イニングを2人の投手で乗り切るしかない状況だった。

 試合前まで、ともに2連投していた杉山と松本裕を“温存”する策に打って出た指揮官。9連戦の3試合目に打って出た勝負手の実情とは――。「臨時クローザー」を任された津森宥紀投手、そして倉野信次投手チーフコーチ兼ヘッドコーディネーター(投手)の言葉からブルペンの舞台裏を探った。

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「コーチから『9回いくぞ』とは言われていなかったので。いつも通りの準備を心がけましたけど、やっぱり変な雰囲気があったので(笑)。ある程度(登板を)察しながらではありましたね」

9回を抑えた津森宥紀(左)と海野隆司【写真:栗木一考】
9回を抑えた津森宥紀(左)と海野隆司【写真:栗木一考】

臨時クローザーの津森は今季最速の155キロを計測

 1点リードの9回に登板した津森は、笑みを浮かべながら振り返った。先頭の角中に粘られながらも空振り三振を奪うと、2死後には藤原に対して今季最速となる155キロをマーク。アドレナリン全開の投球で、見事に3人で攻撃を終わらせた。

 杉山、松本裕が不在のブルペンで臨時クローザーを任されたのは、首脳陣からの信頼の証だ。「2人がいなくても絶対に勝つとか、そういう思いはなかったですけど。やっぱり1点差でしたし、野手も一生懸命プレーしているので。絶対に抑えるという気持ちでいきました」。津森は心地よさそうに汗をぬぐった。

「今日はみんな“その気”になってやってくれたので。本当に良かったと思いますし、選手たちに感謝です」。試合後にそう語ったのは倉野コーチだ。チームは前半戦を締めくくる9連戦の真っただ中。1つでも白星を重ねたいところで、首脳陣は“我慢”を選択した。「今日に関しては、3連投というのは全く頭になかったですね」。

 結果的に7回が鈴木豪、8回オスナ、9回津森というリレーとなったことについて、「全部は言えないですけど、ある程度『こうなったらこう』というパターンはいくつか考えていました。ただ、順番は流動的な部分もありました」と明かした倉野コーチ。救援陣の柱といえる2人を休ませながら白星をつかみ、「それはもちろん大きいです」とこぶしを握った。

 この日の勝利は、まさにリリーフ陣の層の厚みをまざまざと示した会心の1勝だった。前半戦中に3連投を“解禁”するかについて倉野コーチは「言えない」としたものの、「こういう状況でも勝ったという事実が自信につながって、チームとしての幅も広がると思うので。そういう意味でもすごく良かったなと思います」。小久保ホークスで初となった救援6人体制での白星は、ただの1勝以上の価値があった。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)