庄子雄大の闘志が「カッケェっす」 横浜高で知った“ミリ単位の厳しさ”…自分を変えた「空回り」の経験

  • 記者:竹村岳
    2026.07.21
  • 1軍
決勝のホームを踏んだ庄子雄大【写真:栗木一考】
決勝のホームを踏んだ庄子雄大【写真:栗木一考】

9回から代走で出場して貴重な二盗

 チームメートからの「カッケェっす」という言葉は、最大級の賛辞だった。ミスをしても、強い気持ちを持って必ず前を向く。失敗が「許されない」という厳しい空気の中で成長を遂げ、チームのためにグラウンドを駆けるのは庄子雄大内野手だ。

 同一カード3連勝をかけて挑んだ20日のロッテ戦(ZOZOマリン)。8回にオスナが被弾し、試合は振り出しに戻った。庄子の出番が訪れたのは9回。先頭打者で死球を受け、出塁した柳町達外野手の代走として一塁へ。すぐさま二盗を決めると、相手の暴投もあって三塁に進む。最後は周東佑京外野手の中犠飛で決勝のホームを踏んだ。

 プロ2年目の今季は61試合に出場して打率.228、10打点。14盗塁は周東に次ぐリーグ2位で、堅守と俊足で欠かせない戦力となっている。プロの厳しさを味わったのは、4日のロッテ戦(みずほPayPayドーム)。自らの野選がきっかけとなり、7失点につながった。その翌日、試合前練習中に声をかけられた。「昨日のことで本当、申し訳ないんだけどさ……」。その会話が、今でも胸に刻まれている。

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この先で分かる3つのこと

先輩を唸らせた、ミス翌日の庄子が胸に秘めていた覚悟とは
小久保監督が「大チョンボ」と苦言を呈した、ある走塁ミス
横浜高の3年間で叩き込まれた「ミリ単位の厳しさ」の正体

川村友斗も驚愕「さすが横浜です」

「ムーさん(川村友斗)から『引きずらないの?』と聞かれたので『いや、めっちゃ引きずりますよ』と。そういう会話はしましたね。ムーさんからすると、引きずっているようには見えなかったみたいで。ミスをした次の日も試合はあるし、ましてやスタメンで使ってもらっていたので。後ろ向きな気持ちがあれば(プレーに)影響が出ますし、しっかりと反省して、やるべきことに集中しようと思っていました」

 闘志を胸に秘め、黙々と自らのプレーに集中する23歳。気持ちを切り替え、堂々と練習に励んでいたところ、3歳年上の先輩から思わず“質問”された。庄子が「翌日だったこともあって『絶対に今日はやってやる』と。より強く、そういう思いでプレーしていました」と振り返れば、川村も「あいつカッケェっす。さすが横浜(高出身)です」と素直に感嘆していた。

 横浜高時代には甲子園出場も経験している背番号25。青春の3年間で「一喜一憂しない、ということはずっと言われていました。いいプレーが出ても次に集中する。ミスをしたなら、次でしっかりと取り返す。気持ちが浮き沈みしないような指導は受けてきました」。チームメートの近藤健介外野手も同校出身。強豪校で学んだのは、1つ1つのプレーに「妥協」をしないということだ。

「ワンプレーに対する集中力、執念というんですかね。練習から1つのミスも許されないというか、隙を見逃さない雰囲気はあったと思います。全員が細かいところまでこだわってやっていたので。例えばタッチプレーならアウトが成立してOKじゃなく、ちゃんとタッチがしやすいところに投げる。そういうミリ単位の厳しさは持っていたと思います」

 冷静沈着に、足元を見つめる。そのルーツは、自分自身の経験に基づいている。「気持ちを出してやることも大事なんですけど、僕は空回りしやすかった。いい結果が出た記憶がないというのもあって、積極的な気持ちは持ちつつ、冷静にやらないと。今までできていたプレーもできなくなってしまう。そこのバランスは今も勉強中ですね」。2年春に出場した甲子園では3打数無安打に終わった。“闘志”は胸に秘め、役割に集中する方が「自分らしさ」を発揮できる。10年以上の野球人生で、それは誰よりも深く理解しているつもりだ。

二盗を決めた庄子雄大【写真:栗木一考え
二盗を決めた庄子雄大【写真:栗木一考え

小久保監督も言及した「大チョンボ」の可能性

 この日は9回1死一塁から二盗を決めた。ベンチのサインはエンドランだったが、アウトになればチャンスが潰れてしまう場面。重圧がかかる代走という役割にも、庄子が物怖じすることはない。

「ベンチも求めているものがあったと思いますし、どうなろうと自分が二塁でセーフになるんだという気持ちはありましたね。代走で行っているので、まずはそこが大事だと思っていました」

 忘れてはいけない反省も得た。無死一塁、打席に海野隆司捕手を迎えていた場面。ベンチは初球からバスターエンドランを仕掛けたが、庄子は一、二塁間で転んでしまった。小久保裕紀監督も「左飛だったけど、空振りだったら大チョンボです」と厳しく言及。背番号25も「一番やっちゃいけないこと。アンツーカーの高さや滑りやすさは確認しないと。もう初めてやる球場じゃないので」と猛省した。リスクを頭に入れながら、もっともっと隙のないプレーを見せていく。

 どんな時も全力疾走やカバーリングなど、当たり前のプレーを絶対に疎かにしないのがホークスの野球。23歳がしっかりとチームに溶け込んでいるのは「高校の時からそういったことを教えてもらってきたので。本当に指導者の方々のおかげです」と謙虚に足元を見つめているからだ。ミスを胸に刻んで、成長の糧とする。強い気持ちを胸に、逆境を乗り越えようとするから、庄子雄大はカッコいい。

(竹村岳 / Gaku Takemura)