初盗塁から7年…通算766試合で到達
稀代のスピードスターがまた一つ足跡を残した。積み重ねてきた「250」ーー。史上49人目の記録に到達した周東佑京外野手は、実にあっけらかんとしていた。「250という数字自体はそんなに考えていなかったので。早くできればいいな、くらいで。絶対に成功させたいとかは特に思っていなかったです」。
15日の日本ハム戦(エスコンフィールド)、その瞬間は3回に訪れた。2死から左前打を放つと、続く近藤健介外野手の2球目にスタート。見事に二塁を陥れた。今季20個目のスチールを成功させ、通算250盗塁に到達。2019年4月9日の同戦でプロ初盗塁を決めてから7年あまり、通算766試合目での達成となった。
今や”俊足=周東”のイメージを定着させた30歳。「通過点」に辿り着き、明かした意識の変化ーー。そして、現役時代に通算342盗塁を記録した本多コーチが語ったのは、周東しか持ち得ない”異次元の感覚”だった。
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この先で分かる3つのこと
周東が語る「成功を意識しない」独自の境地とは
本多コーチが目撃した「投手の深呼吸」まで察知する感覚
「感覚でいっちゃう」本多コーチも脱帽の極意とは
「最近気をつけているのは、成功しようとか思わないことですかね。普通にスタートを切って、普通に走るみたいな。いいスタートを切ろうとは思っていないですし、悪ければ止まればいいし。ある程度のスタートが切れればいいと余裕を持たせながら、やれているのがいいのかなと思います」
投手のクイックモーションが高速化するなど、盗塁の難易度も上がっている現代において、周東の考え方は自信の脚力への絶対的な自信の表れでもある。通算の盗塁成功率は.842と驚異的な数字を誇るが、「足の速さですかね、完全に」と笑い飛ばすところが周東らしい。
「深呼吸の吸ったタイミングがわかる」
盗塁のイロハを叩き込んだ本多コーチは、周東の凄さをこう語る。
「彼も1個目(の盗塁)とか、10個目の時とかは、まだスタートが思うように切れなかったんですけど。80、90と積み重ねていくと、やっぱりピッチャーとの”阿吽の呼吸”を取れるようになって。彼はそういう感覚がすごく長けているんですよ。例えば深呼吸の吸ったタイミングとか、リズムを感じ取れる。『あ、動いた』って彼は言うんですけど。外から見ても全然動いていないのに、彼の目から見ると『動いた』って。野性の勘みたいなものはあるのかなと思いますね」
実際に周東が決めた250個目の盗塁も、本多コーチの言葉を証明していた。「初回も(塁に)出ましたけど、あれである程度(スタートのタイミングが)掴めたという感じで。2回目(3回の出塁時)の姿が違ったので。そこで『いけるかな』と」。まさに細かな差異を感じ取っていた。
「スチールを切る回数が増えていかないと、そういう感覚は出てこないので。やっぱりスペシャリストですね」。称賛の言葉を送った本多コーチはさらに続けた。「今30歳でしょ。すごいですよね。万全じゃない時でも、自分のスタイルを貫くというか。『ここは(盗塁は)難しいかもな』と思っても、感覚でいっちゃうんで。意思でいくんじゃなくて、感覚でいくので。こちらから何も言うことはないです」
250という数字は、周東にとってあくまで節目ではない。自慢の足で世界すら驚かせた男がどこまで記録を伸ばすのか。楽しみでならない。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)