上沢直之“魂の13球”…バッテリーの本音「腹をくくるしか」「何しとんのやと」 絶体絶命で考えた“最悪”

  • 記者:長濱幸治
    2026.07.15
  • 1軍
5回を終えて会話する上沢直之(左)と海野隆司【写真:井上学】
5回を終えて会話する上沢直之(左)と海野隆司【写真:井上学】

1点リードの6回無死満塁…バッテリーは何を考えていた?

 まさに絶体絶命の場面だった。「もちろん、きつかったですよ」。14日の日本ハム戦(エスコンフィールド)、わずか1点のリードで迎えた6回だった。先発の上沢直之投手が安打2本と死球で招いた無死満塁のピンチ。同点はもちろん、逆転さえも覚悟させられたシーンで右腕が見せたのは、「魂の13球」だった。

 代打の細川に対して制球が定まらず、0ストライク3ボールとなった。敵地は大きな盛り上がりを見せたが、何とか遊飛を打たせて1死を奪った。続く大塚には再び3-0のカウントとなったが、5球目を打たせて一ゴロに仕留める。最後は代打の田宮を3球目の151キロ真っすぐで力ない左飛に打ち取ると、リードを守り切った右腕はマウンドで雄叫びを上げた。
 
 試合展開を考えれば、押し出し四球による1点さえも与えたくない場面だった。結果的に上沢が降板した直後の7回に追いつかれ、右腕に白星はつかなかったが、チームは勝利を収めた。間違いなく試合の分岐点となったタイミングで、上沢と海野隆司捕手のバッテリーは何を考えていたのか。「腹をくくるしかない」「何しとんのやと」。 明かされたのはまぎれもない本音だった。

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この先で分かる3つのこと

窮地のマウンドで上沢が考えていた「最悪のシナリオ」とは
海野捕手が思わず漏らした「何しとんのや」の真意と本音
絶体絶命でギアが上がる…エースが語る「復帰後の現在地」

「もちろん、きつかったですよ(笑)。きつかったですけど、なんとか凌がないといけないので。腹をくくってやるしかないと。なんとかしようという気持ちでいっぱいでした」 

上沢が明かした心境「もちろん、きつかったですよ」

 マウンド上では苦しい表情はおろか、時折不敵な笑みも浮かべていた上沢。経験豊富な右腕が語ったのは、“当たり前”の感情だった。「ネガティブなことは当然よぎりますよ。やっぱりフォアボールは最悪なので。とにかく腹をくくって勝負にいくだけでした」。窮地に抱いた不安に打ち勝ち、相手打線に得点を与えなかった。

「上沢さん、何しとんのやと。そういう気持ちでした」

 試合後、安堵した表情を浮かべながら振り返ったのは海野だった。「キャッチャーとして、もちろん『うわー』と思う場面だったのは間違いないです」。思わず目をつぶりたくなるような場面でも、海野は右腕を信じてサインを出した。「上沢さん、やっぱりピンチになったら力が入りますね。すごいなと。それだけです」。

 右肘のコンディション不良から復帰後、着実に状態を上げている32歳。この日は自己最速タイとなる153キロをマークするなど、出力の面では申し分なかった。「ああいうピンチでも『上沢ならなんとかしてくれる』とみんなが思っているので。ボールの精度に関しては登板ごとにはなりますけど、出力に関しては離脱する前の状態に完全に戻っていると見ています」

 ここぞの場面でギアを一段階上げられる姿こそ、“エース”である所以だ。「徐々に身体もなじんできたので。ここからさらに良くしていきたいですね」。上沢が見せた13球は、日本ハムとの接戦を制した以上の価値を持つに違いない。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)