️2回の攻撃中、海野が中村稔へかけた言葉
「後悔させたくない」。先輩左腕にはっきりと伝えた言葉があった――。25日のオリックス戦(みずほPayPayドーム)。先発予定だった徐若熙(シュー・ルオシー)投手がコンディション不良で登板を回避し、急きょマウンドに上がったのは中村稔弥投手だった。試合後、背番号「30」が口にしたのは、バッテリーを組んだ海野隆司捕手への感謝だった。
「いけるところまで、ゼロで抑えたかった」。5年ぶりの先発となった左腕は初回を3者凡退に抑えたものの、1点を先制した直後の2回2死二、三塁で宗に右翼への3ランを浴びて逆転を許した。それでも打線は直後に5点を奪って再逆転。3回は再び三者凡退に仕留め、この回までで降板した。44球、5安打3失点で、急遽回ってきた大役をなんとかこなした。
逆転を許した直後の2回の攻撃中だった。次のイニングに向けてキャッチボールをしていた中村稔のもとに海野が歩み寄り、言葉を掛けた。試合後、中村稔は「あれは海野から話してきてくれたので」と、その場面を振り返る。流れを引き戻すため、海野が伝えた言葉とは――。
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この先で分かる3つのこと
逆転直後、海野が緊急先発の中村稔へ伝えた言葉の真意
言葉に背中を押された中村稔が3回に見せた修正の舞台裏
小久保監督が「満点」と大絶賛した海野のもう一つの貢献
「やっぱり自分は組むことが少ないので。『投げたい球があれば、自分のサイン通りじゃなくてもいいので稔弥さんの投げたい球を投げてください』ということを伝えました」
昨オフに現役ドラフトでロッテから加入し、5日に今季初昇格を果たした中村稔。1学年下の海野にとっても、十分に理解できるほどの回数を受けてきたわけではない。だからこそ、自らの考えを押し付けるのではなく、左腕が最も自信を持って投げられる球を選んでほしかった。
「稔弥さんのことをまだ完璧に分かっているわけではないので。自分も後悔したくないし、させたくない。自分優先でやるというよりは、稔弥さんの『いい球』を選択してください、ということを伝えたかったです」
3点を失った2回は、先頭の太田に外角高めのスライダーを左前へ運ばれ、2死二、三塁では真ん中低めのカーブを宗に捉えられて逆転3ランを浴びた。一方で、3回はストレートとツーシームを中心に3者凡退に抑えた。
中村稔自身もこう振り返る。「追い込む前にカーブやスライダーを打たれていたので。だからこそ、あの場面で海野も『稔弥さんの好きなボールをどんどん投げていってください』と言ってくれたと思うので。(3回は)悔いの残らないようにしよう、という感じでした」。確かに背中を押された言葉だった。
チームの緊急事態に投げぬいた3イニング。左腕は「あそこ(逆転3ラン)は悔いの残る1球でした。でも最後はチームも勝ったので、本当に良かったなと思います」と胸の内を明かした。小久保監督も「点を取って(3回を)3人で抑えてくれたのは大きかったですね。試合は作ってくれた」と、その投球を評価した。
海野はこの日、捕手として6人の投手をリード。「大きかったと思います」と、逆転直後の3回を無失点に抑えたことへの手ごたえを口にした。打席でも1打数無安打ながら3四球を選び、4打席で相手投手に31球を投げさせるなど粘りを発揮。小久保監督も「満点の打席内容だったと思います」と絶賛した。攻守両面で、勝利を支えた一日だった。
(森大樹 / Daiki Mori)