負傷交代の牧原大成は「余裕っす」 グラウンドで見えた本心…首脳陣が語った“プレーの是非”

  • 記者:長濱幸治
    2026.06.22
  • 1軍
ベンチに下がる牧原大成(中央)【写真:井上学】
ベンチに下がる牧原大成(中央)【写真:井上学】

牧原大、首脳陣、トレーナー…数々の言葉で「現場」に迫る

 痛みに顔を歪めながらも、ベンチに戻ることを明確に“拒否”した。8点リードの7回。中堅に飛んだ際どい打球に、牧原大成内野手は迷うことなくダイビングキャッチを試みた。リスクを負うべきシチュエーションではなかったかもしれない。それでも、どんな言葉より男の執念が伝わったワンプレーだった。

 8-0で快勝した21日の日本ハム戦(エスコンフィールド)。アクシデントは突然起きた。牧原大が左手を押さえながらグラウンドに座り込む。心配顔で駆け寄ってきたトレーナーや大西崇之外野守備走塁兼作戦コーチにハッキリと伝えた。「大丈夫です」ーー。

 本人の強い意思表示があっても、すでに交代は決まっていた。無念の表情でベンチ内に姿を消した背番号8。グラウンドで何が起きていたのか。牧原大、首脳陣、トレーナーの言葉で「リアルな現場」に迫った。

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この先で分かる3つのこと

負傷直後のベンチ裏に漂った緊迫感を徹底取材
首脳陣が明かした、牧原大の「執念」に対する本音
怪我を恐れぬダイビング…コーチが下した「意外な評価」
ダイビングキャッチを試みた牧原大成【写真:井上学】
ダイビングキャッチを試みた牧原大成【写真:井上学】

「大丈夫っす。余裕っす。それだけ。以上。終わりです!」

 試合後に球場を後にした33歳は、短い言葉に“本心”を滲ませた。誰がどう言おうと、グラウンドに立っていたかったーー。育成で入団した頃から変わらないもの。タイトルホルダーとなり、ホークスに欠かせない存在となった今でも、牧原大成を形作る「魂」は変わらぬままだ。

「『(指が)巻き込まれた。力が入らなかった』と本人が言っていたので。こちらとしては最悪の事態も想定していました」

 そう明かしたのは、グラウンド上で牧原大に寄り添った貴戸伸二1軍アスレティックトレーナーだった。「ここは無理をせず、という話をして。一応大事を取って交代という形になりました」。説得にも、簡単に首を縦に振らなかった背番号8。「出たいんだろうな、というのは強く感じました」。貴戸トレーナーも驚くほどの執念だったという。

 貴戸トレーナーとともに牧原大の元に駆け寄った大西コーチはこう証言する。「痛がってないんやったら別だけど、痛がっているんやから『もう代われ』って言うたよ。本人は『いや、大丈夫です』って言うけど、『大丈夫じゃないよ』と。本当に大丈夫だったら、あんなに痛がらへんやろ。『もう交代って(小久保裕紀監督に)言うたわ!』って」

大西コーチ、貴戸トレーナーとともにベンチに下がる牧原大成(中央)【写真:井上学】
大西コーチ、貴戸トレーナーとともにベンチに下がる牧原大成(中央)【写真:井上学】

大西コーチはプレーを理解「取りに行く姿勢は絶対に大事」

 外野を管轄するコーチとして、点差が開いた場面でリスクを伴うプレーをどう捉えたのか。答えは明確だった。「いやいや、やっぱり点差が付いていようが、ボールを必死に追いかけてノーバウンドで捕りに行くという姿勢は絶対に大事だと思う。もし捕れるはずのボールを捕りに行っていなかったら、逆に『なんで捕りに行ってへんねん』って言っているよ。だって、ピッチャーは1つのアウトを取るのに必死やんか」。野球選手としての本能と責任感――。牧原大のプレーをとがめることはなかった。

 日本ハムとの3連戦は、右ふくらはぎを痛めてベンチスタートが続いている周東佑京外野手に代わって19日と21日は中堅で先発し、20日は二塁スタメンで出場した牧原大。打順も2試合は7番だったが、21日の試合は5番を任された。まさに日替わりで役割を果たしてきた33歳を襲ったアクシデント。ベンチも張り詰めた空気が流れていた。

「ちょうど(ベンチの)裏で周東の準備とかを話していて。映像を見ていたんですけど、『あっ』と思いましたね。少し時間が経って『問題ない』ということだったので良かったですけど、本当に怪我だけが怖いので」

 ベンチの様子を語ったのは村松有人野手チーフコーチだ。今季ここまで消化した66試合のうち65試合に出場し、チーム2位の打率.287をマークしている牧原大。本職の二塁だけでなく、中堅や右翼もこなしている33歳に「状態も維持してやってくれている」と全幅の信頼を置いている。

 試合後、小久保監督は「明後日は多分大丈夫です。手首を捻ったように見えましたけど、指だったみたいなので」と最悪の事態は避けられそうな見通しであることを明かした。23日からのオリックス3連戦(みずほPayPayドーム)に背番号8の姿が変わらずにあることを願いたい。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)