秋広優人、57日ぶりアーチ…2軍生活で貫く信念「絶対に後悔する」 ズレと戦った“特化の2日間”

  • 記者:森大樹
    2026.06.13
  • 2軍
3号3ランを放った秋広優人【写真:長濱幸治】
3号3ランを放った秋広優人【写真:長濱幸治】

秋広が57日ぶりの3号3ラン…明かした現在地

 実に57日ぶりのアーチを描いた――。12日に行われたファーム・リーグの阪神戦(タマスタ筑後)。秋広優人内野手は初回2死一、三塁の第1打席で、151キロの直球を完璧に捉えた。「入ってくれ、入ってくれと思っていた」。願いを込めた打球は右翼フェンスを越え、4月16日の同戦以来となる先制の3号3ランとなった。久々の一発が生まれた背景には、ズレを埋めるために「チームを離れた」2日間があった。

 秋広はプロ初の開幕1軍入りを目標に、春季キャンプから猛アピールを続けてきた。しかし、開幕直前に2軍へ降格。ファームではここまで42試合に出場して打率.200、3本塁打、15打点。大砲候補として期待されながらも、本来の力を発揮できずにいる。

 2軍の全体練習が行われた9、10日の2日間は“打撃特化期間”として、2軍本隊を離れて別メニューで黙々とバットを振り込んだ。その成果を感じさせる一発に、斉藤和巳2軍監督も「いいきっかけになってくれたらね」と期待を寄せた。開幕から約2か月半、2軍調整が続く秋広の現在地――。思うような結果が出ずに苦しい時間が続く中でも、23歳が貫いてきたものがあった。

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「これまでやってきたことをやめるのは簡単だとは思います。でも、それで終わってしまったら絶対に後悔すると思うので。フォームもずっと変えていないですし、練習での打撃もそうですけど、感覚自体は悪くないので」

 昨オフの自主トレから山川穂高内野手に弟子入りし、「誰よりもやった」と言い切れるほどバットを振り込んできた。春季キャンプでも最終バスが出発する直前まで練習に取り組む姿は、2軍合流後も変わらない。試合前には集合時間前から室内練習場に入り、1人で打ち込む日々を続けている。

「現状は自分がイメージしているスイングと、実際の試合でのスイングに“ズレ”を感じていて。練習通りに打つのは簡単ではないですけど、その差が小さくなれば、自分の理想とする打球を飛ばせると思うので」

 そのギャップを埋めるため、コーチ陣に囲まれながらバットを振り続けた。2日間の打撃特化期間では、球団が用意したドリルにも取り組んだ。そして、6月1日に登録抹消となった山川と再会すると、自らの現状についても助言を受けた。

「『きっかけは一瞬だったりするから。練習は続けて、これというものを見つければ絶対に大丈夫』と言ってもらいました。色々な人からアドバイスをもらいながら、いい練習はできていると思うので。そのきっかけを見つけられればと思います」

2軍暮らしが続く現状に明かした“率直な思い”

 自主トレから一貫して「やることを変えない」をテーマに掲げてきた。巨人時代は結果が出なければフォームを変えることの繰り返しだった。「どうしても一喜一憂してしまっていたので。いい時間を過ごせていると思います」。常に周囲の環境から刺激を受けながら、練習に打ち込んでいる。

「(中田)翔さんや(坂本)勇人さん、山川さんと一緒に自主トレをやらせてもらって。あのすごい人たちでも、こんなにやるんだっていう。その質も含めた練習量がプロに入って一番驚いたことではありました。ホークスでも、1軍のベテラン選手が全力で取り組む姿を見てきたので」

 取り組みを続ける中で結果が残せていない現状に、もちろん悔しさは感じている。シーズンが進むにつれて1、2軍の入れ替えは活発になり、春先はともに汗を流していた廣瀬隆太内野手や高橋隆慶内野手らも1軍で結果を残し始めている。自身は2軍暮らしが続く中、率直な思いを明かした。

「1軍で活躍している姿を見ると、もちろん悔しい思いは強いですし、1日でも早く上がりたい気持ちはあります。でもまずは、自分の中で『これだ』と思えるものを見つけて、いつ呼ばれても大丈夫という状態をつくることが大事だと思うので」

 トレード移籍を挟み、巨人、ホークスと2年連続でリーグ優勝したチームに所属したが、歓喜の瞬間をいずれも2軍で見届けてきた。「やっぱり最後は、その場にいたい。その悔しさも経験してきたので」。必ず1軍の舞台へ這い上がってみせる――。約2か月ぶりのアーチは、その目標に向けた「小さくない1歩」になるはずだ。

(森大樹 / Daiki Mori)

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