木村光がマウンドに海野隆司を呼んだ理由 魂の4連続直球勝負…“2択”の迷いをかき消した言葉

  • 記者:森大樹
    2026.06.05
  • 1軍
ピンチを切り抜け雄叫びをあげる木村光【写真:栗木一考】
ピンチを切り抜け雄叫びをあげる木村光【写真:栗木一考】

木村光が6回1死満塁で2者連続三振

 絶体絶命のピンチを乗り越えた2人のガッツポーズだった。「あそこを任せてもらっているので。絶対にゼロで抑えて、勝ちに繋げたいと思っていました」。1点リードの6回2死満塁という大ピンチで、木村光投手が見せた真っすぐ4球勝負。覚悟を決めることができたのは、海野隆司捕手の一声だった――。

 4日の中日戦(バンテリンドーム)。チームは2-1で接戦をものにした。勝敗を左右したのは6回だった。1点を失い、なお1死一、二塁の場面で先発のカーター・スチュワート・ジュニア投手から2番手・木村光にリレー。いきなり安打を許して1死満塁のピンチを招いたが、ボスラーを空振り三振に仕留めて2アウト。そして、石伊には真っすぐ4球勝負で空振り三振を奪い、見事な火消しを披露した。ピンチを脱した直後、木村光は「今年一番でした」と、熱い雄叫びをあげた。

 実は2死満塁を迎えた場面、木村光が海野をマウンドに呼んでいた――。そこで繰り広げられたバッテリーの会話。「海野さんのおかげで腹を括れました」。試合を分けた大一番、右腕の迷いを消した言葉があった。

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この先で分かる3つのこと

大ピンチで木村光が海野をマウンドに呼んだ本当の理由
右腕の心を惑わせた、前日の結果ゆえの「ある迷い」
真っすぐ4球勝負を選択した、海野が明かす「根拠」

「あの場面、自分の気持ちがハイになっていて。海野さんを呼んだんです。少し落ち着こうと思ったら、『真っすぐで攻めよう』と海野さんがマウンドで言ってくれたので。自分も心が決まって投げられました」

 1点リードの6回1死一、二塁の場面で、指揮官からボールを託された。いきなり板山に初球のスプリットを右前に運ばれたが、「もう三振を狙いに行くしかない」。そう腹を括り、続くボスラーはスプリットで空振り三振。しかし、なおも2死満塁。木村光の胸中には“ある迷い”が生じていた。

「スプリットでいくのか、真っすぐでいくのか。正直、どっちでいこうか迷っていたんですよ。昨日も(石伊を)真っすぐで三振に抑えていたので、スプリットの方がいいのかな……とかも思っていたんですけど、海野さんが『絶対攻めていける』ってはっきり伝えてくれたので」

マウンドで言葉を交わす木村光(左)と海野隆司【写真:栗木一考】
マウンドで言葉を交わす木村光(左)と海野隆司【写真:栗木一考】

海野も見せたガッツポーズ

 3球真っすぐを続けた4球目。150キロの真っすぐで空振り三振を奪った直後、感情を爆発させた。「結構、気合いが入りましたね。カーターも頑張って粘って、あそこまで繋いでくれたので。本当にリードしたまま勝ちパターンに繋げたかった。投げ終わってから、本当に嬉しかったです」。託されたマウンドをどうしてもゼロに抑えたかった。その熱い気持ちが溢れた瞬間だった。

 海野も真っすぐ4球勝負の場面を振り返る。「相手の特徴だったり、色々ですね。あの場面ということもあります」と汗を拭った。大ピンチを切り抜けた後には、この試合一番の力強いガッツポーズを見せた。

 チームは今季最長の7連勝を飾った。6回のマウンドでの攻防が、この一戦においてどれほど重要だったのか。バッテリーがはっきりと意思を共有していたからこそ生まれた、熱い雄叫びとガッツポーズだった。

(森大樹 / Daiki Mori)