26日に急遽呼ばれた1軍
冷静に自分自身と向き合った期間だった。交流戦がスタートした26日、廣瀬隆太内野手が1軍の舞台へ戻ってきた。今季は自身初の開幕1軍を掴み取りながらも、出番は4月1日の楽天戦で守備固めとして1イニングを守ったのみ。開幕からわずか8日後の4月3日には登録抹消を味わった。
今回は背部痛でチームを離脱した川瀬晃内野手の“代役”として、好調を維持する廣瀬に白羽の矢が立った。チームは25日に東京へ移動したが、廣瀬は交流戦初戦の巨人戦が行われた26日に東京入り。2軍では打率.300、2本塁打、15打点をマークしていた25歳にとって急遽巡ってきたチャンスだった。
ファームでの日々は決して平坦なものではなかった。右足の蜂窩(ほうか)織炎 を患い、出遅れていた正木智也外野手が先に1軍へ呼ばれた際には「俺だって打ってる」と唇を噛んだ日もある。逆境から這い上がるために過ごした約1か月半。廣瀬は2軍で何を思い、自身と向き合ってきたのか。そこには、ただがむしゃらにバットを振るだけではない、静かながら熱い「心の変化」があった。
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この先で分かる3つのこと
2軍で打ち続けた廣瀬が、打撃面で辿り着いた「新境地」
守備力向上のため、コーチと映像で徹底検証したこと
1軍で躍動する後輩・庄子雄大の姿に、廣瀬が抱いた本音
「自分の技術を伸ばそうということだけ考えていました」
廣瀬はファームでの時間をポジティブに振り返る。継続して結果を残すことができた要因を尋ねると、確かな手応えを口にする。「脱力を覚えました。意識して脱力しようとしてもできないんですよ。筋肉をほぐしたりして、無意識でも脱力できるように。そこにこだわっていました」。その姿に斉藤和巳2軍監督も「隆太はずっといい」と目を細めていたほどだ。根本的なアプローチの改善が、安定した結果を生み出した。
打撃だけではない。守備面では、現役時代に名手として鳴らした奈良原浩コーディネータ(野手統括)アドバイザーとマンツーマンで反復練習も行った。「捕球してからの右足の使い方を教えてもらっていました。スローカメラで撮ってもらって、『ちょっとこうなってるな』っていうところを指摘してもらいました」。課題は山積みでも、ひとつひとつを丁寧に潰してきた。
刺激になった庄子の姿
廣瀬がファームで技術向上に取り組む中、1軍で躍動し始めたのが1学年下の庄子雄大内野手だ。「見ていましたよ。年齢も近いし、少ないチャンスをものにしているところがすごいなって。(スタメンで出ることは)ノーチャンスじゃない。可能性はあるんだと」と、素直な思いを明かす。同世代の躍動に刺激を受け、目指す目標はさらに明確になった。
今宮健太内野手をはじめとした強力なライバルがひしめく中、庄子は少ないチャンスの中で信頼を積み重ねてきた。27日までに12試合連続でスタメン出場するなど、レギュラーを掴み取ろうとしている。ベテラン陣の牙城に食い込もうとする姿を、廣瀬も指をくわえて見ているわけにはいかない。
川瀬の離脱という形で、今度は廣瀬自身にチャンスが巡ってきた。「できれば(そういう思いを)抱きながら試合に臨みたくないです。淡々といつも通りやりたいです。チャンスだと力んで、結果が出ないのが一番もったいないので」。27日の巨人戦では4回に代打で出場するも、併殺に倒れた。チャンスだという意気込みは当然あるが、冷静な気持ちでいることも、これまでの経験で学んだことのひとつだ。まだチャンスは必ずある。その時に、積み上げてきた実力を発揮してほしい。
(飯田航平 / Kohei Iida)