山本恵大が今季1号ソロ、リプレー判定中に見せた“強い意志”
日頃の強い感謝の思いが込められた一発だった。「打った瞬間、手応えはありました。ポールも巻いているように見えたので、自分の中では“確信”でした」。そう振り返ったのは、交流戦初戦となった26日の巨人戦(東京ドーム)で、自身約9か月ぶりとなる本塁打を放った山本恵大外野手だ。この日、どうしても打ちたい「理由」があった――。
3回に4点を先制した直後に訪れた1死走者なしの場面。山本恵の放った打球は右翼ポール際に弾丸ライナーで突き刺さった。ポールの内側に入ったことを疑わなかった背番号77は、一塁ベースを回った直後に渾身のガッツポーズ。しかし、一塁塁審は一度ファウルの判定を下し、審判団によるリプレー検証が行われた。
ホークスベンチもファウル判定に「ホームラン! ホームラン!」と一斉に声を上げた。脳裏に一抹の不安がよぎったリプレー検証中、実は山本恵は“ある行動”で強い意思を示していた。そして、地元・東京ドームでの一戦に抱いていた思い。「あの頃とは違う姿を……」――。様々な気持ちが込められた今季初アーチだったーー。
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この先で分かる3つのこと
審判へ無言のメッセージ?リプレー検証中の驚きの行動
嫌なイメージを一変させた、長谷川コーチの言葉とは
「俺が行くと…」来場した“あの人”への恩返し
「もしファールにされたら絶対に嫌だなと思って。『もうバッターボックスに戻らないぞ』っていう意思を見せたかった、みたいな感じですね」
ダイヤモンドを一周すると、山本恵はすぐにバットを拾いに行き、そのまま自軍ベンチに向かってダッシュした。「装具も全部外していました」。せっかく放った1軍での今季初本塁打を、絶対に取り消されたくない――。そんな強い気持ちがにじむ行動だった。判定が本塁打になると、ベンチで再びガッツポーズし、安堵の表情を浮かべた。
1打席目は初回2死一、二塁の先制機で訪れたが、カットボールに差し込まれて二ゴロに倒れていた。それだけに「1本打ちたい」との思いは強かった。「1打席目はカットボールがすごく嫌な感じに見えていました。でも長谷川(勇也)コーチから『初球、ファーストストライクを思い切りいけ』と言われたので。あの打席、2ボールからしっかり打てたのは良かったかなと思います」。
5試合連続のスタメン起用に応える一発。小久保裕紀監督も「日ハム戦の時も左投手相手にいい形で結果を残していたので。状態がいいというところで5番に置きましたけど。良いホームランでしたね」と絶賛した。ここまで出場8試合で打率.320と結果を残し続けている。
父親の前で初めて放ったプロでのアーチ
東京都小金井市出身で、明星大から育成ドラフト9位で2022年に入団し、5年目を迎える26歳。この日、地元での一戦には父がスタンド観戦に訪れていた。自身も「いつもテレビで見ていた舞台」と振り返る東京ドームで、本塁打を初めて届けることができた。
「お父さんが来ると学生の頃から打てないことが多くて。『俺が行くと力んじゃうから……』って、途中からこっそり見に来るようになったんです。あの頃とは違う姿を見せられたかなと思います」
プロ入り後に放った2本のアーチは、いずれもみずほPayPayドーム。「福岡だとなかなか見に来られないので、『今日ホームランが出たらいいな、打ちたいな』って思っていました。本当に良かったです」。
「良い1日になりました」。そう言葉を残して、笑顔を浮かべて東京ドームを後にした。間違いなく、最高の親孝行になった。
(森大樹 / Daiki Mori)