松本晴が直面した葛藤「去年はゼロに近かった」…黒星がついた試合に「一番の手応え」を感じた理由

  • 記者:長濱幸治
    2026.05.25
  • 1軍

鷹フルnoteに松本晴が登場…明かした“告白”

 選手の知られざる素顔や本音に迫る連載「鷹フルnote」。今回は松本晴投手が登場します。今季はここまでチーム2位タイの3勝をマークしている左腕。先発投手陣の離脱が相次ぐ中で、大きな期待を背負う25歳が明かした葛藤と確かな手ごたえ。「去年は試合を作ろうという思いはゼロに近かった」――。まさかの“告白”に込められた真意に迫ります。

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 今季の開幕投手を務めた上沢直之投手は右肘のコンディション不良で離脱、リバン・モイネロ投手も1軍合流のめどが立っていない中で、松本晴にかかる期待は自然と大きくなる。4年目の今季は開幕2連勝を飾り、5月23日の日本ハム戦(みずほPayPayドーム)では5回1失点の内容で今季3勝目をマーク。翌24日に出場選手登録を抹消されたが、26日から始まる交流戦でも頼りになる存在であることは間違いない。

 昨季は開幕からリリーフとして登板を重ねてきたが、5月下旬から先発に転向。最終的に6勝、防御率2.76と飛躍のきっかけをつかむ1年となった。そんな左腕が明かしたのは、今季に臨むにあたっての、明確な“思考の変化”だった。「本当に成長できているなと感じられた投球でした」――。手ごたえをつかんだのは、勝ち投手になった試合ではなく、今季2敗目を喫した一戦だった。

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この先で分かる3つのこと

開幕2連勝も「全然良くなかった」と語る、その真意
敗戦でつかんだ「一番の手応え」が意味する具体的な進化
小久保監督も期待する松本晴が抱える「心のバランス」の葛藤

「開幕から消極的すぎたなと。ここまで『今ある力でどうにかするしかない』『試合をしっかり作れるように頑張ろう』と思っていたんですけど、それよりも変化を恐れずにどんどんチャレンジしなきゃいけないなと。例えば目先の1試合で結果が出なくても、次は良くなるかもしれない。ここからもっと成長していけば、大事なシーズンの終盤により良いパフォーマンスが出せるかもしれない。そう考えて臨んだ試合だったので」。

昨季から一変した意識「どんなに調子が悪くても…」

 松本晴が挙げた5月12日の西武戦。初回から今季最速となる150キロを計測するなど、ボールの強さは顕著だった。5回に石井に浴びた2ランが決勝点となり、6回2失点で今季2敗目を喫したが、「今日は一番腕が振れたので。やろうとしたことがしっかりと形になって、本当に成長しているなと感じました」。松本晴はこれまでにない手ごたえをつかんだ。

 先発として15試合に登板した昨季とは意識を変え、2026年シーズンに臨んでいる。「去年はもう『結果はどうでもいい』と言えば極端ですけど、本当に自分の成長だけを考えて投げていたので。だからうまくいく時はすごく良いピッチングができるけど、ダメな時は全く歯止めがきかなかった。その波がすごく大きかったですね」。

 元々から左腕の向上心の強さは目を見張るものがある。試合を作ろうと「小さくなる」よりも、5年後や10年後の自分に目を向け、一つでも成長したいとの思いを胸にマウンドへ上がっていた。一方で今季は開幕ローテに入り、先発陣の中心としての役割も果たさなければならない立場となった。「どんなに調子が悪くても試合を作るための技術や考え方、慎重さをテーマに自主トレからやってきました」と振り返る。

 芽生えた責任感はすぐさま結果に現れた。開幕から2連勝を飾り、小久保裕紀監督からも「どんな状況でも試合を作れるのは、ローテ投手にとって大事なこと」と高評価をもらった。だが、松本晴の受け止めは違った。「最初の1、2試合目は勝ったんですけど、自分の中では全然良くなかったですね」。葛藤の原因は、“心のバランス”だった。

「試合を作ろうと慎重にいく自分と、自らの成長を求めてチャレンジしたい自分。今年のシーズンが始まって、慎重さに偏っていた部分があったので。もっと成長にどん欲になって取り組んでいきたいですし、4月や5月のことってシーズン終盤になったら誰も覚えていないじゃないですか。バランスを取るのは本当に難しいんですけど、目の前の試合に集中しつつも、成長するために日々考えながら取り組んでいかないといけないなと思います」

 日々もがきながらも、着実に成長を続ける25歳。心と体がガッチリとかみ合えば、驚くべきパフォーマンスを見せてくれるのではないか――。そんな期待を膨らませてくれる男だ。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)