2年目ドラ1村上が振り返る2軍戦初登板
19歳にとって、ほろ苦い“デビュー”となった。「正直、結果だけを見ると悔しさしかなくて。試合に入る前、『これだけはしよう』と思っていたことが全くできなかった」。率直な胸中を打ち明けたのは、2024年ドラフト1位で入団し、今季2年目を迎えている村上泰斗投手だ。
村上は15日に行われたファーム・リーグのオリックス戦(杉本商事バファローズスタジアム舞洲)で2軍戦初登板。6回から2番手としてリリーフ登板すると、先頭の山中への初球にこの日最速となる155キロを記録するなど、150キロ台の真っすぐを連発した。一方で、押し出し四球を与えるなど、2イニングで4四球を与えて2安打2失点。制球面に大きな課題を残した。
地元・関西での“デビュー戦”には家族も観戦に訪れていた。「一番情けない結果というか……。良いところを見せたかったです」と、唇を噛み締めながら振り返った。そこには今季に入り、ようやく実戦経験を積み始めた中で感じていた“怖さ”があったという。将来を嘱望される19歳の現在地――。絶対に負けたくないライバルの存在も赤裸々に明かした。
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この先で分かる3つのこと
• 1ボールの局面でドラ1右腕を襲う「恐怖の正体」
• ドラ1村上が「真っ先に悩みを相談するライバル」とは
• 同学年の2人が将来を見据えて交わした「熱い約束」
「マウンドに立った時に『自分と戦わない』ことを課題に挙げていたんですけど、それが全くできなかった。『やってやろう、いい結果を出してやろう』っていう、すごく楽しみな気持ちで入った分、悔しさしかなかったですね」
この試合でも、1イニング目の先頭打者に9球粘られた末に四球を与えると、結果的に制球が乱れて走者を溜め、押し出し四球に繋がった。実は4月24日の山梨FWとの3軍戦でも、1イニングを投げて無安打も4四球で2失点。4つ目の四球は、今回と同じく押し出しでの失点に繋がった。
「今は1ボールになったら、正直、怖さじゃないですけど四球がよぎって。自分の中で四球に勝手な苦手意識を持ってしまっていて。それが結果に直結していると思いますし、『マウンドで気持ちをコントロールできない人は、球をコントロールできない』とコーチからも言われているので。やっぱり自分でコントロールできる部分はしないといけない」
それでも、実戦登板で1つ1つの課題に直面できる現状に今は前を向いている。「逆にこうして今、まだ投げ始めたばかりで、自分のやるべきことが見えたので。球自体はすごく良かったですし、通用するボールもあったので。コントロールの部分も『何かハマれば』という感覚もあります」。実際に150キロ超の真っすぐで空振りも奪い、決め球のカーブで打ち取る場面もあった。実戦で投げているからこそ、浮かび上がった課題を前向きに捉えていた。
津嘉山に「負けたくない」…近い存在だからこそ秘めるライバル心
そんなドラ1右腕には、自らの心を支えてくれる同学年のライバルがいる。村上と同じく2024年ドラフト育成7位で入団した津嘉山憲志郎投手だ。津嘉山は神戸国際大付高の2年時にトミー・ジョン手術を受け、入団1年目はリハビリに注力。今年3月の練習試合でプロ入り後初の実戦登板を果たし、非公式戦では9試合で防御率0.00を継続している。
「同学年で、同じ兵庫の高校出身で、担当スカウトも同じ。年末も神戸で通っている同じジムがあるので、そこで一緒に練習もしました。知識が本当にすごくて。自分も悩みがあれば、まず憲志郎に聞きますし。プロに入ってからも一番近い存在で、良い関係かなと思います」
2人はともに1年目の大半をリハビリ組で過ごし、今季に入ってからは3軍が主戦場。プロ入り後から長い時間をともに過ごしてきた。津嘉山は一足早く、4月29日のロッテとの2軍戦で初登板を果たした。「僕も悔しさはありますし、絶対に負けたくはないです」。強い意識を口にする。
「俺が先発して、中継ぎで憲志郎が投げて。そういうリレーが1軍でできるようになればいいな」。2人でよく話すのは、1軍の舞台で叶えたい“約束”だ――。「でも、まずは怪我をせずに投げ続けることだと思います」。2軍戦初登板でついた“黒星”も糧にして、村上泰斗が成長の時を迎えようとしている。
(森大樹 / Daiki Mori)