今季初スタメンの23歳に「師匠」が贈ったエール
選手の知られざる素顔や本音に迫る連載「鷹フルnote」。今回は庄子雄大内野手が登場します。10日のロッテ戦(みずほPayPayドーム)ではプロ初の3安打をマークするなど、存在感が増している2年目の23歳。“師匠のたくましい背中”を追い続ける日々が、目覚ましい成長ぶりに繋がっています。
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5日の西武戦(ベルーナドーム)で今季初の先発出場を果たすと、直近5試合で4度スタメンに名を連ねるなど、チームに欠かせない存在となっているのが庄子だ。打席数こそ少ないが、ここまで14試合に出場して14打数6安打、打率.429と猛アピール。チームがなかなか波に乗れない中で、はつらつとしたプレーを続けている。
「与えられたチャンスを掴めるか、自分から逃してしまうのかというところだと思うので。とにかく結果を出せるように必死でやっています。もちろん今がチャンスというのは分かっていますし、本当に目の前のワンプレーに集中してやるだけだと思っています」
強力なライバルがひしめく二遊間で、やはり強く意識するのが今宮健太内野手だ。庄子が明かしたのは、今季初のスタメン出場を果たした際にかけられた言葉――。そして左肩甲骨の亀裂骨折を負いながらも、プレーを続ける師匠に抱く本音だった。
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この先で分かる3つのこと
ベンチスタートの今宮が庄子に贈った試合前の「一言」
師匠の骨折プレーに庄子が感じた「プロとしての判断」
今宮が自主トレで語った「長く現役を続ける秘訣」とは
「シーズン終盤ほどの緊迫感はなかったですけど、それでも緊張はすごかったですね。試合前に健太さんから『緊張してんの?』『頑張れよ』という言葉はいただきました」
この日、庄子に遊撃のポジションを譲る形でベンチスタートとなった今宮。様々な感情が湧き出しそうな状況でも、後輩にエールを贈った。その思いは庄子にも伝わっていた。今宮が見守る中、5回には中前への当たりで二塁を陥れる好走塁を披露。この一打から打線が活気付き、チームは逆転勝ちを収めた。
自主トレで尋ねた“秘訣”と逆行も…「僕もいつか」
「健太さんは憧れの選手」と語る庄子だが、一方で越えなければならない壁であることも理解している。「やっぱり自分もショートで出たいので。そこはいつか、ポジションを取れるようにというのは、ずっと目標に掲げてやっています」。師匠でもありライバルでもある先輩は、4月11日の試合で死球を受け、左肩甲骨の亀裂骨折との診断を受けた。それでも戦列を離れることなく、今もグラウンドに立ち続けている。
「自主トレから一緒にやらせていただいて、『今年ダメなら来年もダメなのかな』と健太さんが思っているかは分からないですけど、やっぱり今年にかける思いは伝わっていたので。どうしようもない骨折なら(欠場しても)仕方ないですけど、『折れていてもできるならやる』という気持ちの強さをすごく感じました」
今宮の決断が必ずしも“正解”であるとは限らない。完治を待ち、万全の状態でチームに戻るのも選択肢の1つではある。しかし昨季はケガに悩まされ、46試合の出場にとどまった34歳の胸中を思えば、その覚悟にに横槍を入れることはできないのも確かだ。
「誰しもが、どこかしらに違和感だとか痛みだとかを抱えながら毎日やっているんだなと感じるので。正念場というか、『ここを頑張らないとダメだな』という瞬間は絶対に訪れると思うんです。僕もいつかそういう事態が起こるかもしれないですけど、そこで『ここは頑張るところ』『ここは早く治す』という見極めが必要な場面が必ずあると思うので。長く現役をやるには、そういう判断も大切になってくると思います」
自主トレ期間中、庄子は今宮にプロ野球で長く現役を続けられる秘訣を尋ねたことがあった。その返答は「怪我をしないこと」というシンプルなものだった。現状、今宮が背中で見せているのは「怪我をしてもできるならやる」という覚悟だ。23歳が目の当たりにしている先輩の姿が大きな“財産”になることは間違いない。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)