庄子雄大を「使いたい」 今宮休養だけじゃない意図…首脳陣に抜擢を決意させた姿勢と1個の四球

  • 記者:森大樹
    2026.05.06
  • 1軍
今季初安打を放った庄子雄大【写真:加治屋友輝】
今季初安打を放った庄子雄大【写真:加治屋友輝】

庄子が今季初スタメンで好走塁を見せた

「庄子を使おう」――。首脳陣に、そう思わせた明確な理由があった。「途中から出る時と同じ気持ちで、自分のやるべきことは変えずに挑もうと思って試合に入りました」。笑顔で振り返ったのは、今季初スタメンで逆転劇の“起点”となった庄子雄大内野手だ。

 5日の西武戦(ベルーナドーム)に「9番・遊撃」で出場すると、1点を追う5回先頭、センター前へ今季初安打を放った。すると、定位置を守っていた中堅手の動きを見て、スピードを落とすことなく一塁を回り、一気に二塁を陥れた。その後、チームは一挙4得点の猛攻。逆転勝利を呼び込む価値ある一打となった。

 試合後、小久保裕紀監督は「6連戦の真ん中で今宮(健太)を休養させるプランがあった」と説明した。昨年9月28日の西武戦(同)以来のスタメン起用。首脳陣の言葉から伺えたのは明確な起用理由と、2年目で着実に進歩を遂げる高い評価だった。そして聞こえてきた「また使いたい」という声――。

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この先で分かる3つのこと

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「日々少しずつ成長しているなと。試合での打席は数少ないですけど、フォアボールを勝ち取ったりもしていたので。去年から見てきて、練習でもトラックマンやラプソードを使いながらずっとやっていましたし。内容も含めて『ちょっと庄子をスタメンで行こうか』という話になりました」

 起用の背景を明かしたのは村松有人野手チーフコーチだ。実際に“成長”の一端を示したのは、4月23日の同戦。8回から代走で出場すると、9回には今季2度目の打席が回ってきた。3球で追い込まれながらも、きっちりと四球を勝ち取った。今宮の休養という側面はあれど、それ以上に自らの力で首脳陣に「使いたい」と思わせるだけの“内容”を積み上げてきた。

 妥協なき姿勢で練習と向き合ってきたから、快音を響かせることができた。「きょうは当たりも1本出たし、良い走塁も見せてくれた。盗塁もできれば、もちろん良かったですけど。これからが楽しみですし、『また使いたいな』という感じになっています」と村松コーチ。首脳陣が胸の内で温めていた「使ってみたい」という期待を、この1試合で「また使いたい」という爪痕へと変えてみせた。

 5回の打席をネクストから見守っていた周東佑京外野手も、二塁を陥れた好判断を絶賛した。「『足、速えーな』と思って見ていました。『あの打球で行けるんだ』って。本当にバッティング練習とかを見ていても、いい感じで打ってるのを見てました。庄子も(足が)速いので、自分も負けずに頑張りたいですね」。通算236盗塁、球界屈指のスピードスターも刺激を受けるプレーだった。

指揮官があえてゲキを入れた“ワンプレー”

 確かな爪痕を残した今季初スタメン。だが同時に、“宿題”も残った。小久保監督は「あれが彼の持ち味ですから」と好走塁を称えた一方、見逃さなかったのは直後のプレーだった。周東が放った左中間への当たりに対し、二走の庄子はベース付近での打球判断がやや遅れ、スタートが後手に回った。

 結果的にホームへ生還したものの、指揮官は「あの打球判断はいただけない。成長の余地はかなりあります」と厳しい言葉を残した。庄子本人も「本当ならもう少し判断を早く。そういったところで隙を見せないように、しっかり課題を潰していければと思います」と反省を口にした。

 グラウンドで得た学びは、必ず今後の成長につなげていく。そうして少しずつ信頼を積み重ねてきた。「足の速さは1つの武器。そういった部分をしっかり見せていければ」と前を向く。厳しいゲキは、走塁面で高いレベルを求められているからだ。小久保監督も最後は「(起用が)当たったということにしておきましょうか」とにっこり微笑んだ。首脳陣に「また使いたい」と思わせる、確かな印象を残した一戦。経験を糧にして、背番号25は一歩ずつ階段を駆け上がっていく。

(森大樹 / Daiki Mori)