大津亮介の躍進を支える“伝家の宝刀” 海野隆司の証言…マスク越しの違和感「シンプルに合ってない」

  • 記者:長濱幸治
    2026.05.03
  • 1軍
海野隆司(右)と会話する大津亮介(中央)【写真:栗木一考】
海野隆司(右)と会話する大津亮介(中央)【写真:栗木一考】

2日の楽天戦で7回無失点…無傷の4勝目をマーク

 充実した表情で試合後の囲み取材を受けていた大津亮介投手が、一瞬だけ唇をキュッと引き締めた。「めっちゃ悔しかったです」。2日にみずほPayPayドームで行われた楽天戦。5点リードの7回1死走者なしで、武藤に与えた四球について質問が飛んだタイミングだった。試合の勝敗には関係のない1つのフォアボールに感情をあらわにしたのは、大津ならではのこだわりがあったからだ。

「フォアボールを出すくらいならヒットを打たれたほうがいいですし、やっぱり自分の持ち味でもあるコントロールを皆さんに披露できたらいいなと思っているので。あそこは悔しいです」

 今季5度目の登板となった同戦も、抜群の安定感は変わらなかった。7回を投げて106球、8安打を許したものの7三振を奪って無失点。開幕から無傷の4連勝をマークし、防御率1.03とローテの柱と呼べる活躍ぶりだ。その中でも驚きは与四球数だ。ここまで35イニングを投げて、四球はわずか「2」。驚異的な制球力が躍進を支えている。

 一方で、好投の要因はもう1つある。昨季の大津とは“別人”と呼べるほどの、明らかな変化。キーマンは開幕からバッテリーを組む海野隆司捕手だ。「毎試合、海野さんのリードを信じて投げていますし、本当に海野さんのおかげだなと思います」。右腕が絶対の信頼を寄せる正捕手が口にした“事実”。それは今シーズン、相手打者に抱く「ある違和感」だった。

会員になると続きをご覧いただけます

この先で分かる3つのこと

データが示す、昨季から一変した大津の「投球の軸」
海野が「使い過ぎない」と決めた配球の鉄則
海野が絶賛する大津の能力と、右腕のさらなる目標

「バッターがシンプルに(タイミングが)合っていないので。だから多く使っているだけです。ボールを受けている感じは去年と変わらないですし、理由ははっきりと分からないですけど」

大津亮介【写真:栗木一考】
大津亮介【写真:栗木一考】

「15.9%→25.0%」明らかに変わった投球スタイル

 海野が明かしたのは、大津のチェンジアップについてだった。セイバーメトリクスの指標などで分析を行う株式会社DELTAのデータによると、昨季の投球全体のうち、チェンジアップが占める割合は15.9%だったが、今季は25.0%に急増している。一方で、昨季はストレートに次いで2番目に投球割合の大きかったフォーク(17.8%)は、今季6.3%に減少。右腕のピッチングスタイルが大きく変わっている。

 大津にとって生命線と言える球種が絶大な効果を発揮しているのは、数字にも表れている。今季ここまで奪った32三振の47%にあたる15個がチェンジアップを決め球にしたものだ。2日の試合でも7三振のうち4つがを伝家の宝刀”で奪っていた。

 多彩な球種を誇る右腕だが、海野が配球で重視するのは「使い過ぎないこと」だという。「日によって軸となるボールがあるので。本当にコントロールできているボールは何かというのを見極めることが大事だと思います」。打者の目をそらすことだけを考えるのではなく、あくまで信頼できるボールを投球の柱に据えることが重要になる。

 大津が「海野さんのおかげ」と話すように、海野もまた右腕に信頼を寄せている。「本当に素晴らしいの一言です」。正捕手として大津を力強く引っ張るが、「普通に大津の力じゃないですかね。やっぱり投げミスをしないですし。それは大津の力だと思います」と素直に後輩をほめたたえた。

 大津自身も進化を止めるつもりはない。「自分の中で『絶対に7回は投げ切る』というのは毎試合の目標にしているんで。まだまだいけるっていう時は(さらに長いイニングを)投げたいと思ってます」。確かな信頼関係を気付くバッテリーの存在は、ホークスにとって頼もしいばかりだ。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)