木村光が目指す“タイトル”
迷いなく即答する視線の先には“大きな目標”がある。「今年は獲りにいきます」と熱く語ったのは、木村光投手だ。プロ4年目にして初の開幕1軍入りを果たすと、現在9試合連続無失点中。藤井皓哉投手が右肘のトミー・ジョン手術で今季絶望、杉山一樹投手が左手骨折で離脱と苦しい状況になっている救援陣を、力強い活躍で支えている。
「今年はプロに入ってから一番状態が良いです。とにかくゼロを刻むことが『次も使おう』という信頼にもつながると思うので。無失点を繰り返して、大きなインパクトを与えたいです」。ファンや首脳陣の記憶にも残るような数字を積み上げていく。きっぱりと言い切る口調には自信がみなぎる。その裏側には、明確な原動力が存在している。
オープン戦では7試合に登板して無失点。激しい競争を勝ち抜き、実力で1軍切符を掴み取った。“3.27”が近づくにつれ、高まっていく期待と緊張感……。開幕戦の数日前、ふとスマートフォンの画面を見つめていると、目に飛び込んできたのは自身の“ある記録”だった――。「あれ……残っているんや」。タイトルの存在を、初めて強く意識した瞬間。右腕が今抱く野望を明かした。
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4年目の今、木村光が「狙える」と確信した“意外な栄冠”とは
開幕直前にスマホを見て驚愕!本人が語る「資格」の真相
同期の記録超えを宣言!右腕が掲げた「驚異の無失点目標」
「今年は新人王を獲りにいくつもりでやっています」
力強く宣言した目標。今季4年目を迎えた右腕だが、昨季までの通算投球回は23回2/3。新人王の資格である「初めての支配下登録から5年以内」かつ「通算投球回30イニング以内」という条件を、実は満たしていたのだ。
「正直、最近まで自分に(新人王の)資格が残っていることを知らなかったんです。開幕前にスマートフォンを見ていたら、SNSか何かに書いてあったんですよ。それを見てから『残っているんや。じゃあ目指すしかないやん。獲りにいこう』と思いました」
2022年ドラフト同期入団の大津亮介投手はルーキーイヤーの2023年に46試合に登板したが、タイトル獲得はできず。松本晴投手は資格を有していた昨シーズンに6勝を挙げたが、記者投票で得たのはわずか1票だった。ホークス勢としても、2019年の高橋礼投手(現・西武)以降、新人王は誕生していない。厚い戦力層を誇るからこそ、木村光の「目指すしかないやん」という言葉にも重みが増す。
まずは目指す「30試合連続無失点」
大きな目標は、右腕を突き動かすモチベーションの1つ。そこには確かな実績に裏打ちされた自信がある。最後に失点を喫したのは、昨年8月31日のロッテ戦(ZOZOマリン)まで遡る。以降、8試合連続無失点でシーズンを終え、今季も9試合でゼロを並べている。公式戦での連続無失点は「17」まで伸び、一歩ずつ、ホークスのブルペンにとって欠かせない存在となってきた。
「でも、まだシーズン50試合すら投げたことがないので。まずは開幕から30試合無失点を目標にしたい。4年目で新人王を獲るなら、それくらいのインパクトを残さないといけないと思うので」
ただ新人王は「あくまで最終目標」と強調する。まずは目の前の1試合、チームの勝利のために腕を振るつもりだ。「今はとにかくゼロを刻んで怪我をしないこと」。プロ1年目の2023年には、7月の支配下登録直後に胸椎分離症を発症した。長期離脱を経験した苦い記憶もある。「1年間を通じて良い成績を残し続けた終盤に、ようやく色々な実感が湧いてくるものだと思う」と先を見据える。
チームの連覇、その先に待つ“栄冠”のためにもゼロを並べる。「まずは去年の(松本)晴の12試合(連続無失点)を超えますよ」。同期のライバルの名前を挙げ、笑みを浮かべた。現在の通算イニングは32回1/3で、新人王を獲得するならチャンスは今シーズンしかない。必要不可欠となった背番号「68」は、さらなる高みを目指している。
(森大樹 / Daiki Mori)