突然始まった“三塁手・秋広優人” わずか数分のノックも…お試しではない首脳陣の明確な意図

  • 記者:森大樹
    2026.04.17
  • 2軍
三塁でノックを受ける秋広優人【写真:森大樹】
三塁でノックを受ける秋広優人【写真:森大樹】

三塁でノックを受けていた秋広

 試合前の練習で見慣れぬ光景が広がっていた。雨天中止となった15日のファーム・リーグ阪神戦(日鉄鋼板SGLスタジアム)。三塁でノックを受けていたのは、秋広優人内野手だった。わずか数分間のノックには、首脳陣の「明確な意図」と、秋広の“生きる道”が隠されていた。

 初の開幕1軍入りを目標に春季キャンプから猛アピールを続けてきた秋広だったが、オープン戦ラストとなった3月22日の広島戦(マツダスタジアム)で2軍に降格した。ファーム合流後は、16日の阪神戦でも豪快な本塁打を放つなど、持ち前の長打力を発揮。12試合で打率.263、2本塁打、7打点と結果を残し、1軍昇格の機会を伺っている。

 一塁と外野をメーンポジションとする秋広だが、巨人時代のプロ1年目には三塁のポジションを守っていたことがあるという。「そんな簡単なポジションではないので……」と苦笑いで振り返ったが、単なる“お試し”ではないことは、2軍首脳陣の言葉が物語っていた。

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続きの内容は

金子コーチが語る三塁挑戦の狙いと1軍への「明確な道筋」
高評価の守備センス…ノックの裏にあった「1週間前の密談」
井上朋也から借りたグラブ…挑戦を支える「若鷹同士の絆」

「選択肢を広げるという意味合いです。元々、プロ1年目はサードをやっていましたし。もし練習を重ねて良い動きができるようになれば、1軍で空きができたときにそこ(三塁)で試合に出られる可能性もあるわけじゃないですか」

 こう明かしたのは、秋広にノックを打っていた金子圭輔2軍内野守備走塁コーチだった。首脳陣の中で、練習中に「三塁・秋広」を試すプランが浮上したのは、ちょうど1週間ほど前のことだったという。

「元々、ハンドリングやスローイングは上手い選手だと思っていたので。どれだけできるのか。本当はもっと早くやりたかったんですけど。まずは練習だけですし、マイナスは絶対にないと思うので。2軍でやっておけば、1軍にも『できますよ』という実績を作ることもできる」

斉藤和巳2軍監督も説明「我々の仕事」

 春季キャンプから改良した打撃フォームで強烈な打球を連発し、オープン戦ではチームトップの3本塁打を放った23歳。小久保裕紀監督は「後ろ(試合途中)からいく選手じゃない」と2軍降格の理由を説明していた。

「1軍でチャンスを掴むと考えた時、守るところを増やすしかないわけじゃないですか。そうすれば打線もチャンスが増えるし、彼自身の出場機会が増えて打撃を生かせる」。金子コーチの言葉の根底には、秋広の打撃を1軍の舞台で輝かせたいという思いが改めて見えた。

 斉藤和巳2軍監督も「今後守るかどうかはわからないけど」と前置きをした上で、「首脳陣で『どこか入る隙があるなら』という話をした。どうにかして1軍に上がりたいという気持ちはみんなあるわけで。どんな形でも道があるのなら、そこを模索するのが我々の仕事」と説明した。

 この日は井上朋也内野手からグラブを借りてノックを受けた。今後、“三塁・秋広優人”が実現するかはまだわからない。だがどんな形でも1軍の試合に出たい。それがプロ野球選手としての純粋な思いだ。23歳にとって、この挑戦が大きなきっかけになるかもしれない――。

(森大樹 / Daiki Mori)

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