2軍で打率.409、育成3年目・大泉の“変化”
ホークスの将来を担う育成選手に焦点を当てた新コーナー「未来の推し鷹」。今回は育成3年目の大泉周也外野手の登場です。5日の試合前時点で、ファーム・リーグに8試合に出場し、打率.409をマークしている育成最年長の26歳。好成績の裏にはオフから貫いた“1つの取り組み”、そして首位打者に志願して弟子入りした「6日間」がありました――。
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昨年までとは明らかに違う感覚だった。大泉は3月29日に行われたファーム・リーグのオリックス戦(タマスタ筑後)で4打数3安打の活躍。8回には公式戦初となる豪快な3ランを放った。「力に力で対抗しようとしていたんですけど、剛には柔というか。『こんなに軽く振って、こんなに飛ぶんだ』という感覚が、自分の中で出てきているので」と手応えを口にした。
独立リーグ・福島レッドホープスから2023年育成ドラフト1位で指名され、入団。BCリーグの本塁打王にも輝いた左の強打者は、3年目を迎えて確かな“変化”を感じている。昨季は2軍で32試合の出場にとどまり、打率.267、本塁打ゼロに終わった。「いつまで野球ができるかわからない。今年こそは……」。オフの間、悩み抜いた末にたどり着いた“打撃の形”があった。
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続きの内容は
首位打者・牧原大に志願。面識なしで挑んだ6日間の舞台裏
体感163キロに挑む日々。明石コーチが認めた覚醒の理由
「全部は無理」と腹をくくった男が、苦悩の末に得た思考法
「去年は3軍では良くても、2軍で『ヒットが欲しい、ヒットが欲しい』と思って、小手先で合わせるバッティングがすごく多かったんです。でもそれじゃ魅力がないな、って。『速いボールをしっかりホームランにする力』をつけたいと、昨シーズン終わりに思いました」
自分の打撃スタイルに悩んだ昨季は数字に追われ、打席の中で割り切ることができなかった。「もう3年目ですし、今年は腹をくくったというか。全部(打つの)は無理じゃないですか。だからまずは1つ、思い切って『ストレートを長打にすること』に振り切ってみようかな」と決意した。
今年1月には牧原大成内野手の自主トレに6日間限定で参加した。「ただ時間を過ごすだけではダメだと思ったんです。同じ育成出身で左バッター、さらに首位打者も獲得されている方。速球への対応も含めて、聞きたいことがたくさんありました」。面識はほとんどなかったが、知人を介して「行かせてください」と自ら志願した。
「牧原さんはすごくバットを振りますし、練習量も想像以上でした。WBC前で大変な時期だったと思いますけど、がめつく聞けるところは聞こうと思って。自分ができることは全部するという気持ちで行って、本当にいい時間になりました。トライ&エラーで思い切ったことをやりたい。そんな思いでした」
明石コーチも口にした成長
春季キャンプでも明石健志R&Dグループスキルコーチ(打撃)と連日、全体練習終わりに自主練習を続けた。マシンを近距離に置いて、体感速度160キロ超の速球を打ち続ける毎日。明石コーチも練習の成果が結果に表れていると語る。「やっぱり真っすぐに余裕を待つことで、変化球への対応もよくできています」。26歳が見せる変化を口にした。
「どうしても前までは、ボールを長く見すぎてバットを振っていたので。速い真っすぐに対しては遅れて、余裕がなかった。でもスイングの判断が投手寄りでできるようになって、全ての球に対してタイミングが取れるようになったのが一番大きいんじゃないかなと思います」。明石コーチは嬉しそうに成長ぶりを認めていた。
オフの取り組みが結果となって表れても、数字に一喜一憂することはない。「絶対に良い時も悪い時もあると思うんです。でも少し悪くなっても、今やっていることは変えないです。感情に左右されず、自分がコントロールできることにだけ集中すると今年は決めています。気持ちの面では少し成長したのかなと思います」。
昨年までの迷いはもうなくなった。「本当のラストチャンス。思い切ったことをやりたい。ダメならまた考えればいいです」。腹をくくった26歳。大泉周也が虎視眈々と支配下の椅子を狙っている。
(森大樹 / Daiki Mori)